2019年12月、トヨタは不足する輸送ドライバーに対応するため、調達部品を引き取り物流として転換しました。対象となるのはまず部品会社200社で、豊田自動織機なども含む23の国内工場で引き取り物流が行われます。
東海地区で調達する仕入れ先からの部品の物流は、部品会社のお届け物流ではなく、トヨタ手配での引き取り物流に変更することとしたのです。
すでに東北や九州で部分導入はしていましたが、2020年9月からは東海地区に展開してオールトヨタと本格的な展開を図るようです。
トヨタが行った試算によると、2015年と2030年の国内におけるトラックドライバーは26%減少することが見込まれているようで、さらに社会問題として環境負荷の低減なども解決しなければなりません。
これらを踏まえて、今回の引き取り物流への転換を決めたといえるでしょう。
部品会社それぞれが物流を手配するのではなく、輸送会社も部品会社もトヨタが物流を構築することによって、業務の効率化が可能となります。
それに加え、国が進めるドライバーの働きやすい環境づくりのためのホワイト物流推進運動にも対応が必要であると、物流見直しを検討したと考えられます。
すでにトヨタ自動車九州では2016年から、トヨタ自動車東日本でも18年から、一部取引先と実施しています。それによりドライバー数も約12%抑えることが可能となり、輸送効率化やCO2排出量約6%削減などに成功しています。
さらにトヨタ自動車九州と東日本では、1台のトラックで複数の部品メーカーを集配する子配送方式の効率化や、荷物の積み降ろし場を改善させドライバー負担を軽減させるといったことも行っており、東海地区でもこれらのノウハウを展開しようという動きです。
東海地区で行う取り組みとして、部品物流の約3割が対象となる見通しのようです。さらに九州と東北でも対象を拡大させ、それら2つの地域全体の6~7割の物流をカバーするとされています。
これまで部品会社が負担していた物流費はトヨタ側の負担となるので、部品会社の納入価格は引き下げとなるでしょう。
さらに物流の効率化で、出荷からトヨタの生産ラインに部品が届くまでに発生する滞留時間も短縮につながることを見込んでいるようです。
海外ではトヨタが物流を構築することも多いようなので、これらの取り組みは様々な国で行われているとされています。