どのような業界でも損害賠償や労働災害のリスクはツキモノです。
運送業の場合、顧客から預かった荷物に損害を与えてしまうなどで、賠償請求されるリスクがあります。
また、従業員の長時間労働などが原因で、労働災害を起こすリスクもゼロではありません。
そこで、運送業のリスクについて、労働災害や損害賠償請求などその内容や備える方法を紹介します。
運送業で荷物を運ぶ際には、紛失や破損などのリスクと常に隣り合わせの状態といえます。
そのため運送作業中の賠償責任リスクは次の2つといえるでしょう。
・破損・紛失
・賠償事故
それぞれ説明します。
預かった荷物に損害が発生したときには、荷主または元請運送人に対して賠償責任が発生します。
輸送中や積み下ろしなどのときに荷物が散乱することもあれば搬入の際にぶつけて壊すといった例もあり、盗難被害に遭い紛失するリスクも考えられます。
配送中に歩行者と接触し、ケガを負わせるケースや、搬入中に搬入先の壁にあたり傷をつけるなどの場合も、運送業者に賠償責任が発生します。
疾病やケガが業務上のものであれば、従業員や遺族から労働災害の損害賠償を請求される恐れがあります。
運送業は長時間で不規則な勤務になることが多いため、体調を崩したドライバーが重大な自動車事故を起こす可能性も否定できません。
そのため従業員の労災リスクとして挙げられるのは次の2つです。
・作業中のケガ
・業務による疾病
それぞれ説明します。
運送業では、トラックの運転中よりも荷役作業中にケガを負うケースが多いといえるため、注意が必要です。
脳・心臓疾患で労災認定されたケースは、事案発症1か月前の時間外労働時間の平均が月間98.4時間とかなりの長時間労働でした。
長時間の過重勤務で、重大な自動車事故を起こす要因といえる脳・心臓疾患などの疾病を発症させれば、労災認定され損害賠償請求されることになるでしょう。
不測の事態による賠償責任リスクに備えるには「運送業者受託貨物賠償責任保険」が役立ちます。
また、運送業に限らず事業主には「安全配慮義務」があるため、従業員が安全に働けるように配慮が必要です。
労働時間や休暇を適切に管理し、従業員の心身を健康な状態で保つことが求められます。
業務上の労働災害の補償は政府の労災保険がありますが、認定されるまでに時間がかかることや、従業員に対する補償として十分とはいえません。
損害賠償請求されれば、事業への影響は小さくないと留意しておくべきでしょう。