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メーカーは物流子会社を手放したがっている?存廃の岐路に立たされている理由

2020.06.21
分類:経営

日本で物流子会社を保有する製造業や卸売業、小売業などは数多く存在しています。その数は国内だけでも約1千社以上と言われるほどで、配送・倉庫内における保管・流通加工など、それぞれの段階に応じて物流企業に外部委託されていました。

人事や経理、情報システムといった管理部門は外部委託される中で、物流も同じように機能を分けて個別の企業として構えたほうが、ノウハウを生かしつつ独立採算も期待できると設立される流れに至ったと考えられます。

なぜメーカーは物流子会社を手放したいのか

メーカーは物流子会社を持つ傾向が多かったのですが、近年ではその傾向も変わりつつあります。

実際、物流子会社を手放そうとしているメーカーなども増え、物流専業の会社に売却する動きなども見られます。

かつての物流子会社の役割として、親会社に対し他社では提供できない価格提示や、親会社の人材を受け入れることなどが考えられました。

物流子会社は収益性の高い親会社以外への販売で儲けを出し、親会社に貢献する形を取ることが求められていたと考えられます。

このニーズに対応できる物流子会社であれば問題ないでしょうが、もし実現できなければ子会社として意味がないと捉えられてしまうこととなるでしょう。

物流子会社は親会社には貢献することを求められますが、親会社から貢献してもらう立場ではないとしたら、市場価値がないとみなされた段階で必要がないと判断されてしまうのです。

 

物流子会社の存在がコスト負担となる?

日本ではメーカーを中心とした物流子会社の設立が続き、親会社の定年退職者や余剰人員の受け皿として役割を担う部分から始まりました。

自社車両は少ないけれど、利用運送事業者として得る手数料を収入源として、運賃の一部をグループ内にとどめるといった形で機能しているところもあります。

物流子会社はトラックやドライバー、倉庫、作業者などは抱えることなく、傭車や再委託、業務委託、派遣といった外部委託で利益を上げてきました。

しかし今は人手も不足しており、燃料の高騰やコンプライアンス経営が局面を迎えるなど、コスト負担が経営を直撃している状態です。

 

大きな転換期を迎えている物流子会社

検証の結果、物流子会社を解散させ外部の物流事業者にアウトソースするといった動きも見られ、まさに大きな転換期を迎えている状況であると考えられるでしょう。

利益が出せなくなっている物流子会社は存廃の岐路に立たされている状況にあるといえますが、今後はM&Aや買収など様々な形で変化していくことが予想されます。