運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

物流ネットワークをM&Aなどで効率化する際の配送テリトリーなどの考え方

2020.06.22
分類:経営

効率的な生産や物流ネットワークを作り上げればコストは削減できます。そのため、企業の再編成やM&Aなどを検討する企業も増えていますが、十分な計画や試算を行わないままでは意味がありません。

工場や配送センターの場所や数、輸送手段、配送センターと顧客のテリトリーをどうするかなど考えなければならないのです。

生産・物流ネットワークを再編成するなら

生産・物流ネットワークを構築する場合、原材料を調達して最終的に製品を販売するまでの企業活動において、いずれも最適化させることが求められます。

サプライチェーンと呼ばれるものであり、生産・物流ネットワーク上で発生するコスト要因をできる限り下げ、無駄のない効率的な解決策を考えていかなければなりません。

その具体的として挙げられるのが、工場やDCと呼ばれる配送センターの場所や数、そして輸送手段、配送センターと顧客の割り当てであるテリトリーなどを変更することです。

 

実際のメリット・デメリットを数値化して考える

生産や物流にかかるコストを削減しようと考えた場合、昨今増えつつあるM&Aや業務提携なども重要な要素といえます。

しかし実際には、統合や提携が活用されるのは財務の指標からの可能性だけでの試算にとどまっている状態です。

生産や物流の業務部分からメリットやデメリットを詳細に試算することは一般的とはいえません。

特に物流部分は統合したあとで実際に運用して様子を見ることも多く、合併はしたものの生産や物流に無駄が発生して、想定していなかった費用が発生したりなども少なくないようです。

そのような状況を避けるためにも、物流を最適化できるのか、合併するよりも前に統合や合併においてどのようなメリット・デメリットがあるか数値化し判断することも必要です。

 

もっともコストの影響が少ない物流形態を選ぶことが必要

M&Aを検討する場合には、2社が合併した上での最適なサプライチェーンの構築も必要です。

特に複数の物流ネットワークを合併するなど複雑な場合において、最適な物流ネットワークを考えるなら、まずは全体の顧客テリトリーを2分割し、すべての製品をそれぞれ取り寄せ在庫管理したほうがよいでしょう。

しかし実際には、製品を納入者であるベンダーと契約を結び、倉庫の従業員との雇用関係や運送会社との運賃契約など制約があります。

それらをすべて一度に最適な形に持っていくことは難しいため、暫定的にもっともコストの影響が少ない物流形態を選び、数年に渡り移行する計画などを作成することも必要といえるでしょう。

すべてを一度に解決できるものならそのほうが望ましいですが、企業の再編成やM&Aでは問題の規模が大きく複雑になりがちです。手間や時間がかかるケースも少なくないため、まず取り組むべき問題はなにか切り分けて解決していくことを行いましょう。