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物流業界にも5G活用が当たり前に?その実験内容とは

2020.07.05
分類:経営

20200219日、東京都練馬区にある江古田流通センターと奈良県大和郡山市にある奈良ロジスティクスセンターにて、日本通運とWireless City PlanningWCP)が第5世代移動通信システム(5G)活用のスマート物流における実証実験を行うことを発表しました。

5Gは、高速・大容量で低遅延、多数の端末と接続できるといった様々なメリットや特徴を持っていますが、この機能によって高臨場感のある映像伝送や自動運転サポートなどが実現可能とされています。

他産業にて様々な革新をもたらすと期待されている5Gですが、物流においてはどのように働くこととなるのでしょう。

すでに進んでいる5Gを活用した物流

実際に東京と奈良で行われる実証実験は、すでに20201月下旬から着手されており2月下旬まで実施されています。

WCPは総務省から「令和元年度5G総合実証試験」での多数の端末から同時接続要求における処理を可能とする5G技術について調査・検討することを受託しています。

今回の実験は、シャープやソフトバンクと協力しながら5GIoT機器に向けたLTE規格「Cat. M1(カテゴリーエムワン)」などを活用することを目指したものです。

江古田流通センターでは5Gはもちろん、端末に近い位置へデータ処理機能を配備して通信を高速・最適化する技術であるMECを活用したトラック積載状況を可視化すること、そして荷室に対する積み込み判定についての実証実験をすでに実証済です。

奈良ロジスティクスセンターでもCat. M1のセンサーを活用し、荷物の積載状態や温度状態を確認する実証実験を終えています。

 

今回行われた5Gを使った実験

今回は江古田流通センターで、ソフトバンク開発の可搬型5G設備である「おでかけ5G」を利用し、レーザースキャナーを使ってトラック積載状況を可視化させ、加速度センサーを用いて荷室への積み込み状態を判定する内容の実験が行われました。

今後は同じ技術を使い、積載率の低いトラックを素早く判断し、まだ余裕のあるスペースを有効活用できるようにすること、さらにドライバーの積載状況確認における作業を軽減させることが期待できます。

 

他にも実験で様々な効果が確認されている

奈良ロジスティクスセンターでもCat. M1における実験が行われ、荷物に温度センサーを取り付け走行させることで、リアルタイムに遠隔地の管理者が温度確認を可能とすることを確認しました。

さらに荷室にLTEを採用した重量センサーを設置し、シャープ開発のアプリケーションでドライバーと遠隔地の管理者が荷室の総重量や偏荷重などを確認することに成功しました。

従来まで荷物の積載はドライバーが経験で判断していたこところが大きかったですが、このようなアプリケーションを使えば荷室の重量を均一させることが可能です。

さまざまな荷物の状況に対し、スムーズに迅速可能とする物流が実現されるようになるでしょう。

5Gを活用したスマート物流に対する実証実験であり、労働力不足など物流業界が抱える課題解決につながる取り組みといえます。