運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

物流業者・運送業者の損益計算書に表示される項目の意味

2020.09.23
分類:経営

物流業者や運送業者では、財務諸表のうち損益計算書で利益を確認しながら、今の経営方法でよいのか自問自答していることもあるでしょう。

ただ実際に、ずらりと並ぶ勘定科目を目にしても、何がどのようなことを意味しているのかよくわからないということもあるようです。

そこで、運送事業を専業とする事業者の損益計算書を参考に、それぞれの項目が示す意味についてご説明します。

損益計算書に表示されている様々な損益たち

損益計算書ではいろいろな種類の利益や損失などが表示されています。

たとえば、

・売上-運送原価=粗利(売上総利益)

・粗利(売上総利益)-一般管理費=営業損益

・営業損益-営業外損益=経常損益

・経常損益-特別損益=税引前損益

などですが、このうち税引前損益が会社の企業活動で発生した純粋な損益をあらわしています。

売上総利益は粗利と呼ばれる部分ですが、この粗利からそれ以下に発生するすべてのお金(支払い)が行われると考えておきましょう。

そのため、まずは粗利が発生しなければ企業経営はどうしようもなくなってしまうとも言い換えることができます。しっかり利益を出せる企業経営が必要であり、粗利を意識することも必要なことです。

 

変動費である運送原価と固定費である一般管理費の違い

運送原価は変動費ですが、ドライバーの残業代・燃料費・車両(タイヤなど)の修繕部品や消耗品・修理代・高速道路代・配車手配で発生した人件費・事故賠償費などが含まれます。

固定費である一般管理費として、車両の減価償却・ドライバーの基本給与・車両リース費用・事務所家賃・重量税や自動車税などの税金・車検手数料や保険料などが挙げられます。これらの固定費は、仕事があってもなくてもかかる経費です。

そのため一般管理費は仕事があってもなくても必ず必要になるお金であり、運送原価は仕事があれば支払いも必要になる部分と考えるとわかりやすいでしょう。

 

営業損益をプラスにして営業利益にすることが大切

粗利から役員報酬や人件費(事務員などの)、事務所家賃、通信費、コピー代など一般管理費を差し引いた金額が営業損益です。

この営業損益こそが、運送業者が本業により稼いだ部分であるので、黒字になることが必要といえます。

もし営業損益部分がマイナスの場合、仕事はしたのに何も残らなかったということになってしまいます。

この営業損益から利息などを差し引いて、金利などを足せば経常損益を算出できます。金利は気になる部分ではありますが、まずは営業損益を営業利益にできることが重要です。