新型コロナウイルスにより、日本だけでなく世界の経済は大きな打撃を受けている状況です。
物流業界も当然例外ではなく、医療品や生鮮食品を運送する業者では長時間労働になりながらもサプライチェーンを守り続けている状況です。
しかし新型コロナウイルス感染拡大により、PCR検査で従業員に陽性反応が認められるなど、配送する先の工場や店舗、工事現場などが休業してしまい荷物の運送先がなくなってしまった業者も少なくありません。
物流業界でも人の手は欠かすことができず、万一発熱や不調を訴え新型コロナウイルスによる感染が疑われる従業員が出た場合には、PCR検査などにより感染の有無を確認することが必要です。
物流センターや倉庫の一部では、東京オリンピックが延期されたことや、輸入貨物が減少したことで倉庫から貨物が消えてしまったことが影響し、出庫予定の貨物が保管されたままとなる事態が起きました。
新型コロナウイルスは物流業を営む企業の経営に大きな影響を与えているといえますが、運送業界でも同じです。マンションやビルを建築するゼネコン主体とする大規模な工事現場に対しての配送は激減しましたが、一般住宅のリフォームや新築などで使用される建材の配送は増加しているともいわれています。
新型コロナウイルスにより業績を上げている企業もあるということなのです。
では新型コロナウイルスの影響で、仕事が激減してしまい売上が低迷している物流企業・運送会社にはどのような特徴があるのでしょう。
共通する部分として挙げられるのは、
①限られた少数の荷主とのみ取引を行っている
②ある特定の業界にのみ特化している
③差別化を可能とする特徴がなく参入障壁が低い仕事を行っている
④営業活動を軽視してきた節がみられる
などです。
これらの特徴がみられる物流企業では、社員は新しい仕事を行うことを嫌がるため挑戦してみようという意識も消失してしまっているといえます。
それに対し新型コロナウイルスの影響を大きく受けることなく、業績を良好なまま保てている企業の特徴としては、
①ドライバー教育を徹底して行っているため顧客からの評価も高い
②専用車両を購入するなど初期投資を行い参入障壁も高い
③一括して物流を受託し顧客との関係を深く保っている
④棚入まで行い配送先と荷主、どちらとも顧客満足度を高く保っている
⑤特定業種や荷主などを分散できている
といったことが挙げられるでしょう。
企業経営が困難な状況にあるのはどの産業や業界でも同じですが、物流業界におけるサプライチェーンでは需要が高まる商品は24時間体制で増産し続け、製品供給を止めない体制づくりを構築させています。
生産ラインで必要となる部品を切らせないため、中国のサプライヤーや物流会社などとも連絡を日々取り合うなど、サプライチェーン維持への努力を惜しんでいません。
人々の生活を支えるために、物流が円滑に動くことが必要であると改めて認識しておくべきでしょう。