運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業が高騰する軽油価格に対応するために導入したい「燃料サーチャージ」とは

2023.06.03
分類:その他

運送業にとって、輸送手段を動かすための燃料はかかすことのできないものといえますが、軽油などが高騰していることで負担が大きくなっているのも事実です。

 その他の経費を削減したとしても、高騰する軽油などの燃料費が経営を圧迫しているともいえますが、負担軽減のために導入したいのが「燃料サーチャージ」といえます。

 そこで、運送業が高騰する軽油価格に対応するために導入したい「燃料サーチャージ」と、導入の障壁になっている背景について解説していきます。

燃料サーチャージとは

 「燃料サーチャージ」とは、荷主と運送事業者の間の取引において、基準価格を定め燃料価格が上昇分を運賃や料金へ反映させる仕組みです。

 軽油など燃料価格が変動すると、コスト増減することになります。

 そのコスト増減分を別途運賃として設定するために導入されるのが燃料サーチャージです。

 もともと燃料サーチャージは1970年代に海運業界が導入したことでスタートしました。

 その後、航空業界や陸運業界でも導入されるようになったといえますが、現在では国土交通省やトラック協会などが燃料サーチャージ導入を働きかけていることもあり、だんだんと導入されるケースが多くなったといえます。

  

燃料サーチャージ導入の障壁

 運送業は、軽油など燃料価格変動に対応するため燃料サーチャージを導入していきたいところでしょう。

 しかし実際にあまり導入が進んでいない理由として、燃料サーチャージを導入する場合には、原価計算や燃料が高騰したときに影響する金額などを分析・把握しなければならないからです。

 その分析結果をもとに、取引先と燃料サーチャージ導入に関する交渉を進めていくことになります。

 しかし取引先との交渉が大きな障壁となることが多いですが、その理由として次の背景が関係しています。

 ・燃料サーチャージを導入していない事業者に荷主を奪われるリスクがある

・価格が沈静化した後には燃料サーチャージがなくなる

・燃料サーチャージ導入により運賃値上げが難しくなる

・激しい価格変動で複数回値上げが必要になる

・荷主から算出上の軽油基準価格に関する理解を得ることができない

・荷主が燃料サーチャージの仕組みを理解できていない

・荷主との契約手続が煩雑である

・システム変更・構築などにコストがかかる

・運賃の届出作業が煩雑である

 この中で最も懸念されるのは、燃料サーチャージを導入していない企業に仕事を奪われてしまうことといえます。

 荷主よりも弱い立場である運送事業者は、途中で契約を打ち切られることを恐れてしまい、導入に関する交渉ができない場合もあるようです。