国土交通省は2019年12月、トラック運送サービスを安定・継続して提供できるようにと、荷主と運送事業者との間での取り決めや運行事例などをガイドラインとして公表しています。
これは、コンプライアンス違反を防ぐことや、運行業務を実施に必要なコスト構成などについて、荷主と運送事業者が適正な契約をするためのものといえるでしょう。
そこで、公表されているガイドラインは具体的にどのような内容となっているのかご説明します。
もともと国土交通省では、2016年7月にトラック事業者の適正水準といえる運賃・料金収受の環境整備のため、荷主とトラック運送事業者の関係者の他、関係省庁などで構成される「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」を設立していました。
検討会では具体的な方策を議論し検討していたようですが、コンプライアンス違反を防ぎながら運送機能の持続・確保を図る際に必要となるコストについて、荷主と運送事業者の理解を促すことを目的としてガイドラインを取りまとめたようです。
取りまとめられたガイドラインでは、安定・継続して運送サービスを提供する上でのコンプライアンスの重要性の他、改善基準告示の内容などが表で解説されています。
問題視されがちなドライバーの拘束時間も、運転時間だけでなく点検・回送・荷待ち・荷役・休憩といった時間を含むことを荷主に示す内容となっています。
そしてドライバーの時間短縮の対策として、具体的な例をイメージ図活用のもと表示しており、たとえば高速道路利用で拘束時間を短縮できることの他、受付予約システム利用で荷待ち時間を短縮できること、パレット活用の機械荷役で荷役時間が短縮可能となることなどが示されています。
さらに安定した運送で必要となるコストについても、運送費(直接費)に運行費・車両費・ドライバー人件費・自動車関連諸税・保険料などを必要とし、間接費にも一般管理費・施設費・事故処理費・租税公課などを必要とすることが記されています。
コスト割合は直接費を100とした場合、間接費はおおよそ32+αとなることまで記載があります。
コンプライアンスを強化することを目的とし、違反した事業者に対しての行政処分強化、改善基準告示違反の場合にはトラック事業者に対しての処分だけでなく荷主勧告制度による荷主の社名公表などの勧告および警告を行うことも示されています。