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運送トラック会社が運賃の値上げ交渉をするなら今のタイミング?

2021.05.08
分類:経営

運送トラック会社の場合、運賃の値上げについては荷主に経済的な余力があるうちに…と考えてしまうものでしょう。

消費税が増税され新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今のうちに交渉したいと考える運送トラック会社も少なくありません。

そこで、運送トラック会社が荷主と運賃の値上げ交渉を進めていくとき、何をポイントとして重視しておくべきかご説明します。

30年に渡り運賃を下げ続けてきた事実

トラック運送業界では、ドライバーとして働く乗務員が不足しており、トラックはあるけれど運ぶことができない状態から輸送量自体を伸ばすことができないことも起きていました。

そのため、人材確保の問題と貨物量減少の問題を解決することばかりにとらわれ、働き方改革どころではないと考えてしまうものです。

そして運送トラック会社は、この30年に渡り運賃を下げ続けてきたといえるため、今が運賃を値上げするきっかけとして考えていくべきでしょう。

 

値上げ交渉には濃淡が生じている

すでに荷主に対し運賃の交渉を進めている運送トラック会社もあるようですが、進み具合には濃淡が生じています。

コスト負担力の荷主により結果は異なること、運送トラック会社に値上げへの姿勢を崩さない荷主もいること、運送サービスの種類によって競争環境が異なることなどいろいろな要因が考えられます。

企業規模や分野を問わず、運送業界全体で共通しているのは運送トラック会社の交渉力は一律ではなく、経営者や特定のメンバーの手腕に頼りきっている状況です。

 

行政の後押しがあっても交渉能力を伸ばす以外ない

そもそもトラック輸送では買い手優位の市場だったため、運送トラック会社側から値上げ交渉を持ちかけることはできにくい状況でした。

売り手側では市場価格として設定される運賃を受け入れるしかなかったため、交渉のスキルや能力を伸ばす機会すらなかったといえます。

そこで、国土交通省では「トラック運送事業者のための価格交渉・ノウハウハンドブック」といった冊子を作成するなど、交渉力強化に向けた支援も行っています。

行政も後押ししてくれることは歓迎するべき部分ではあるものの、実際に現場で交渉するのは運送トラック会社であり、民間企業同士の話し合いで決まります。

そのため運送トラック会社自身が営業担当者を教育するなど、交渉力を高めていくことが運賃値上げにつながると考えられます。