運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業は将来を見込んで資本家を頼りに売却を検討するべきか

2021.11.24
分類:経営

資本家として運送業を買収しようと考えている方などは、事業譲渡における運送業の売却相場が気になるところでしょう。

実際には事業資産と事業利益の25年分の合計が売却相場となりますが、経営基盤強化や事業承継を実現させるために売却を検討する運送業も少なくありません。

そこで、運送業は資本家を頼りに売却を検討するべきなのか考えてみましょう。

運送・物流業界の現状

運送・物流業界は一時期市場規模の伸び悩みも見せていましたが、近年ではインターネット通販市場が拡大し、フリマアプリを使った個人間取引が拡大したことで宅配便取扱件数も急増しています。

さらに新型コロナウイルス感染拡大により通販需要も高まり、宅配便の取扱量は一気に増えたといえます。

今後もインターネット通販市場は成長していくことが予想されますが、この需要を取り込むことができるかで、将来性は変わってくると考えられます。

 

運送・物流業界が抱える課題

資本家が注目しているのは、運送・物流業界が抱えている2つの課題といえます。

そのうちの1つが人手不足の問題で、ほとんどの運送業者がトラックドライバーの不足を感じています。

そしてもう1つがドライバーの労働時間の長さです。

トラックドライバーの年間労働時間は全産業平均と比較すると、月換算3738時間もオーバーしているといわれるほどの長さである反面、年間所得は全産業平均より12割低い過酷な労働環境となっています。

この過酷な労働環境が人手不足の要因となっていると考えられるため、ドライバーが快適に働くことのできる環境を整備することが急務といえるでしょう。

 

運送・物流業界のM&A動向

運送・物流業界の合併や買収など、M&Aの件数は増加していますが、後継者不足がその背景にあります。

運輸業の後継者不在率は6割を超えており、事業承継できず悩む運送事業者も少なくありません。親族や社員・役員などに後継者候補が見つからないままでは、いくら利益が出ていても廃業するしかなくなります。

そこで、そのまま廃業し従業員の雇用を失うよりも、会社を売却するM&Aを検討するケースが増えているようです。

他にも人手不足や長時間労働など、抱えている課題を解決する手段として同業他社とのM&Aも検討されています。

事業承継や業界再編が活発化している現状からも、今後、運送事業の売却は経営戦略の1つとして活発化することが予想されます。