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運送会社がコンプライアンス違反をしてもその責任は荷主が負う?

2019.11.19
分類:経営

2018128日、「貨物自動車運送事業法」の一部改正に関する法案が可決・成立となりました。

この法律は運送事業者に対する法律であり、改正で荷主に対する事項も追記されています。悪質な運送事業者を排除するとともに、荷主対策を強化することを目的として改正されたと考えられますが、主に荷主対策強化についてどのような内容なのか確認しておきましょう。

ドライバーの労働環境を改善させるために

物流業界は物流企業よりも荷主の方が立場は上という力関係が続いていましたが、深刻なドライバー不足やインターネット通販などによるEC市場拡大などによる配送業務の増加によって、需給バランスが変化しパワーバランスも逆転している状態であるといえます。

運送事業者に働き方改革による罰則付き時間外労働規制が適用されるのは2023年からですが、今のままで上限規定が適用されてしまうと、多くの事業者が遵守できなくなることが予想されます。

そうなると国内の物流機能は混乱し、場合によっては停止してしまうかもしれません。このようなことを危惧した国は、危機的事態を回避するためドライバーの労働環境を改善させることを目的に改正がなされたといえます。

 

改正により荷主対策が強化!その内容

運送事業者が働き方改革、法令順守などを推進すること可能にするために、改正では荷主対策の強化策として元請けを含む荷主に関する次の項目が規定されています。

荷主の配慮義務が新設に

運送事業者が法令を遵守することができるように、荷主に対する配慮義務が設けられ、中でも過労運転と過積載の防止について強調されていた内容になっています。

荷主勧告制度を強化

荷主勧告制度については改正前の貨物自動車運送事業法では、一般貨物自動車運送事業者、または特定自動車運送事業者だけに適用されていました。しかし改正により、軽貨物自動車運送事業者にも適用することになっています。

軽貨物自動車運送事業者に適用されるようになった理由として考えられるのは、インターネット通販などが多く利用されるなど、EC事業が拡大されたことで個人宅への宅配件数が増加していることが関係しているでしょう。

また、従来までは国土交通省から荷主に勧告されるのみだったのが、荷主の企業名も今後は公表されることになります。

荷主への働きかけなどの規定が新設に

国土交通大臣は貨物自動車運送事業者が違反を行う原因が荷主にあると疑われる場合、荷主が行った行為を改善するように働きかけや要請を行い、もし改善されない場合は勧告や公表することが可能となっています。さらに独占禁止法違反が疑われる場合は、公正取引委員会に通知することとされています。

なお、この規定は2023年までの時限措置として実施されます。

荷主に対するコンプライアンス違反の追及

荷主からの高圧的で無理な要求や強いプレッシャーなどで、ドライバーの連続運転時間が違反となった場合などは、荷主が責任を問われることになります。