運送会社の企業規模に関係なく、いつかは株式上場したいと考える経営者もいることでしょう。
上場できたときには、これまでのように資金繰りに悩まされることもなく、大規模に資金調達できる可能性も広がるからです。
ただ、上場にはいくつもの審査をクリアする必要があるため、決して容易とはいえません。
そこで、運送会社が株式上場したいと考えるとき、押さえておきたいポイントについて説明していきます。
運送会社に限らず、企業が上場するときには、証券取引所による審査基準をクリアすることが必要となります。
証券取引所の審査基準は、
・形式要件
・実質要件(実質基準)
の2種類がありますが、東証やマザーズなど取引所により満たさなければ数値など審査基準は異なる点は注意しておいてください。
これから上場を目指すというとき、自社内で扱いにくく、あいまいになりがちな項目として次の2つが挙げられます。
・人事労務
・財務
それぞれについて詳しく説明していきます。
社内の組織や管理・統制・コンプライアンスなどに大きく関わる部分といえるのが「人事労務」です。
上場するときには、売上・利益を確保することや、事業を継続性に目を向けるものの、社内統制まであいまいなままである場合や見落とししてしまうケースも少なくありません。
上場のときに指摘されやすいポイントは次の3つなので、しっかりチェックしておきましょう。
・就業規則はしっかり整備できているか
・残業代未払いなど問題が発生していないか
・人事関係で訴訟など起こされていないか
人事労務だけでなく、財務も注意が必要となる項目です。
上場時期を把握している方が短期利益を図ろうとする恐れがあるため、どのように防止すればよいのか検討することも必要といえます。
第三者割当増資など規制が例として挙げられますが、抵触したときには上場が不受理となる可能性もあると留意しておきましょう。
運送会社が上場することによるメリットとして挙げられるのは次のとおりです。
・莫大な創業者利益を受け取ることが可能となる場合がある
・資金調達しやすくなる
・社会的信用度を上げることが可能
・人材確保しやすくなる
・企業体制が整備される
ただし、メリットだけでなく次のようなデメリットも踏まえた上で上場を検討することが必要となります。
・莫大な費用と時間がかかってしまう
・情報開示の業務が増える
・株主が納得する経営が必要