小型の物流拠点のことを「デポ」といいますが、在庫を多く持たずにランニングストックだけで少量ずつの頻度の高い配送を行う施設です。
物流を効率化させるために欠かせないこのデポは、物流業界が現在抱えている人手不足という悩みを解消するため、自転車を導入した配送システムとする企業が増えているようです。
リヤカーのついた自転車や台車をデポに用いることで、高齢者や女性などでも配送することが可能となります。
大型集合住宅の一部にデポを設置することで、大型トラックなどが通ることのできない団地の細道でもリヤカー付き自転車ならスムーズに通ることができます。
それまで途中まではトラックで輸送し、そこから手押しに台車に積み替えて配達するという面倒がなく、デポから直接届けることができるので配達コスト削減だけでなく業務の効率化、さらに二酸化炭素の削減にも繋げることが可能です。
配達員として作業を行う方も、団地に居住している方ならそのエリアに詳しく、高齢者や女性でも負担なく仕事を行うことが可能となります。
佐賀市シルバー人材センターなどでも、佐川急便から2018年の春より自転車による配達業務を受けているとのこと。佐賀駅周辺には宅配デポが設けられ、研修を受けた高齢者が自転車を使い荷物を配達しているようです。
この佐川急便は2014年にも横浜市シルバー人材センターと同じ取り組みを始めているので、高齢者の雇用促進にも貢献できているといえるでしょう。
地域のコミュニケーションも強化させることができる上に、リタイア後にまだまだ働くことができるという元気な高齢者の方の再就職の場としても活用することができます。
生涯現役社会を実現する上での一助となるだけでなく、そもそも人手不足で人材を確保しなければならないという物流業界が抱える問題を解消することにも繋がり、さらに車両を使わず自転車での配達が可能なので環境への負荷低減にも寄与できることがメリットといえるでしょう。
佐川急便では、他にも北九州市シルバーセンターや佐賀県伊万里市の栄町地域づくり会、米子広域シルバー人材センターなどとも同様の取り組みを進めているところで、今後ますます高齢者が活躍できる場が広がることが期待できます。
人手不足解消にプラスし、再就職したい、まだ働けると考える高齢者の働き先確保にも繋がるよい取り組みに注目していきたいところです。