運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業の一人親方が負傷し労災が発生したときの

2022.06.19
分類:総務

運送業ではドライバーが交通事故を起こすことや、貨物の荷下ろし中に腰痛になるなど、労災が発生することもあります。

ドライバーが従業員であれば労災保険から給付を受けることができますが、一人親方に関しては労災保険給付を受ける特別な手続が必要となります。

そこで、運送業の一人親方が負傷したとき、労災と認められるための要件や、必要な手続について説明していきます。

労災と認められるための要件

ドライバーが事故を起こした場合でも、そのすべてが労災に該当するわけではなく、業務災害または通勤災害が発生したときに労災と認められます。

「業務災害」とは、労働者が業務上災害でケガを負ったときや死亡したときであり、「通勤災害」は労働者が通勤途中にケガを負ったときや死亡したときなどが該当します。

業務災害や通勤災害が発生した判断されたときに、労災保険の給付対象となります。

 

ドライバーに多く見られる労災の背景

運送業は労災による死傷が発生しやすいといえますが、厚生労働省が公表している労働災害発生状況を見ても、労災による死傷者数は製造業や建設業に次いで多い状況です。

運搬中の交通事故や、トラック荷台からの転落などによる労災事故が多く、長時間の運転や重量物の積み下ろしなど腰への負担が重いことを理由に腰痛を発症するケースも少なくありません。

さらに過労を原因とした脳・心疾患など過労死の件数は最も多い業種とされており、長期の稼働時間による精神疾患などが生じているケースもあります。

 

運送業の一人親方が労災給付を受けるための「特別加入制度」

運送業ではいろいろな労災事故が起きやすいですが、そのために加入する労災保険は労働者を保護することを目的としています。

原則として、一人で仕事をしている個人事業主は労災保険の対象にはなっていませんが、運送業の一人親方であれば「特別加入制度」を活用することで労災保険の対象とすることができます。

「特別加入制度」とは、「労働者」に該当しない個人事業主などでも、一定要件を満たすことで労災保険に加入することを認める制度です。

特別制度の加入方法

運送業を個人事業主として営む方は「一人親方」として特別加入制度を利用することができます。

加入するときには都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体を通じ手続しますが、特別加入団体の場所は労働基準監督署に問い合わせて確認するとよいでしょう。