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運送業界の総量規制とは?荷物受け入れ拒否という強気の戦略で起きた問題

2022.07.11
分類:総務

アマゾンが日本に上陸してから、ヤマト運輸では「宅急便」取扱個数が急増することとなり、過重な労働でも働くしかないドライバーも多くなってしました。

しかし現在では運送業でも「働き方改革」が推奨されることとなり、荷物の受け入れ拒否など総量規制といった強気の戦略に出たことで、ドライバーの労働環境は改善されたといえます。

その反面、労働環境が見直されたドライバーたちが手放しで喜ぶことはできない問題も起きていますが、どのような問題なのかその内容についてお伝えしていきます。

荷物の引受量制限で労働環境は改善

サービス残業が常態化していることが発覚したヤマト運輸では、現場での過重労働解消のために「宅急便」の引受量を制限する「総量規制」へ踏み切りました。

「総量規制」とは、集荷・幹線輸送・配達それぞれのインフラでキャパシティを超えないように、荷物量を調整することです。

取扱量を一時的に減らすことで、反発する顧客も少なくありませんでしたが、強引に推し進めた総量規制で全体のボリュームは抑制できました。

さらにサービスも見直すこととし、最前線のセールスドライバーの負担になっていた「当日配達」など一時的に中断することを決め、ドライバーたちの長時間労働の改善に乗り出したといえます。

「配達時間帯指定」も夜間帯の配達業務の負荷軽減のために見直し、現場で働くドライバーたちの労働環境は劇的に改善されたようです。

 

ドライバーの労働環境は改善されたものの次に起きた問題とは

しかし本来であれば喜ぶべき現場の労働環境改善が、ドライバーの労働時間を従来よりも大幅に短くさせることとなり、年収ダウンが家計に大きな痛手となってしまいました。

加算される残業ならあったほうが収入面で助かっていたというドライバーも多く、激務に見合うだけの報酬を得ていたことで、生活が成り立っていたケースもあるようです。

副業を検討するドライバーもいるようですが、疲労で体調不良を原因とする交通事故や災害は発生させてはいけないと、乗務終了後に継続8時間以上の休息期間を確保することは法的に求められています。

しかし副業ドライバーは後を絶たず、法的に問題があっても需要がある間は多く稼ぐために働きたいというトラックドライバーも少なくないのが現状です。

本業での労働環境改善がされても、副業ドライバーが増える流れはしばらく止めることができないとも考えられます。