運送業に限らず、自動車で公道を走り乗り続けるためには、車が安全な状態に保たれていることが必要です。
そのためには車の装置が規定通りのサイズで規定された場所に備えられているか確認することが必要となりますが、そのための法律が道路運送車両法です。
そこで、道路運送車両法の保安基準について、その内容を説明していきます。
「道路運送車両法」は、自動車・原動機付自転車・軽車両などの日本国内を走行する車両に対して規定されています。
第一条には次のとおり記載があります。
“第一条 この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証を行い、並びに安全性の確保及び整備についての技術の向上を図り、あわせて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。”
そして第四十条から第四十六条に、道路運送車両の構造や装置に関する安全確保と環境保全上の技術基準が規定されていますが、これが道路運送車両の「保安基準」です。
保安基準では、原則、道路運送車両の構造や装置が自動車を運行させることに十分耐えることができるのか、安全が義務付けられています。
それに加え、騒音・排気ガスといった環境保全に配慮し、通行人などに危害を与えない技術の制限や制約なども規定があります。
車両の長さ・車体サイズ規制・前照灯・窓ガラス・バックミラー・ホーンの仕様なども含まれますが、保安基準の一例は以下のとおりです。
・前照灯(ヘッドライト) 走行用の前照灯は白色または淡黄色ですべてが同一である
・前部霧灯(フォグランプ) 点灯状態にかかわらず点灯・消灯できるもの
・窓ガラス 運転者が交通状況を確認するため必要な視野範囲に係る部分の可視光線透過率が70%以上である
・後写鏡(車外鏡) 取付部付近の自動車最外側より突出している部分の最下部が地上1.8m以下のものは、歩行者に接触したとき衝撃を緩衝できる構造である
・警音器(ホーン) 警音器の警報音発生装置の音が連続するもので音の大きさ・音色が一定である
・タイヤ 回転部分が突出するなど他の交通の安全を妨げるおそれのないもの
最近では自動的に自動車を運行させる自動運行装置が備わった自動運転車の安全確保に向けた制度整備も進められ、新たな保安基準の対象装置として追加されるなど、法整備にも変化が見られます。
時代のニーズに見合った法改正整備は今後も進められていくことでしょう。
保安基準に適合する車両であることを定期的に自動車検査で確認することが必要です。
使用者が自動車の保守管理を行っていることを証明する「車検」を受ければ、運輸支局から「車検証」と「検査標章」が発行されます。
車両を公道で走らせるためには、車検証と検査標章が発行された自動車でなければならないことを理解しておきましょう。