運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

物流・運送業界で働くドライバーの苦悩!幹線道路にポイ捨てられたものとは?

2020.03.06
分類:総務

トラックドライバーの長時間労働は、以前から社会問題として取り上げられることが多く、労働環境の見直しが必要であると常に問題視されていました。

トイレ休憩をとることもできないトラックドライバーなどが、幹線道路に尿入りのペットボトルを投棄するといった問題も発生しています。このような行為は確かに批判される内容ではありますが、その背景には常に幹線道路を走り続けなければならないトラックドライバーの苦境が存在します。

輸送に伴うコストはいろいろありますが、それらはすべて中小運送業者が負担しなければならないケースは少なくないことで、国は取引ルールの見直しを以前から進めていたようです。

国もこのままではいけないと…

トラックドライバーの労働環境を改善するため、国土交通省は荷主と運送業者の取引ルールを見直すガイドラインをまとめました。

実際、運送業者は荷主との力関係により、高速道路など有料道路の料金まで請求しにくい状況であったため、見直されたガイドラインでは高速料金を必要コストと明記して荷主に協力を求めています。

 

ドライバーの労働環境改善を目指して

荷主と契約を締結する際にひな型として使用される「標準貨物自動車運送約款」も20178月に改正されましたが、改正された約款には荷待ち時間の対価、検品や棚入れなどの付帯業務に料金が発生することが明記されました。

改正貨物自動車運送事業法でも、長時間労働となる取引をさせている荷主の情報は、関係機関が共有することで要請や勧告といった働きかけも可能になるとされました。

見直しになったガイドラインも、これらのルールに沿った内容となっており、高速道路の料金だけでなく社会保険料も必要経費であることが強調されています。

また、荷主の都合により発生した荷待ち時間に対しても、料金が発生することが記載されており、荷主に協力を呼び掛けていることが特徴です。

 

労働環境が改善されなければ…?

実際、運送業界の人材不足はますます深刻な状態へと進んでいますが、現在トラックドライバーとして働く方の年齢を確認しても、29歳以下の若年層は10%に満たない状況です。

他産業と比較して極めて低い状況であり、このまま労働環境が改善されなければますます人手不足は深刻な状況になるでしょう。

荷主が運送業者の法令順守を理解し協力することは、ドライバーの過労による事故を防ぐ上でも重要なことです。

少なくとも今回のガイドラインなどの見直しにより、トイレ休憩すら取ることができないという状況は起きなくなり、ドライバーの労働環境も改善されることが期待されます。