運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

春闘の賃上げ要求は5.5%?交通運輸産業の平均賃金は今後どうなる?

2023.03.07
分類:総務

全国交通運輸労働組合総連合(交通労連)は、2023117日・18日の2日間に渡り、中央委員会を開催のもと2023年度春闘方針を決めました。

賃上げ要求は所定内賃金5.5%程度とし、日本労働組合総連合会の春闘方針5%に0.5%上乗せした形としています。

これは、交通運輸産業の平均賃金が全産業の平均より水準が低いことによるもので、他産業との格差を少しでも縮めようとするものです。

ボーナスの要求額は年間1人あたり平均110万円要求とされていますが、今後、交通運輸産業の平均賃金はどうなるのでしょう。

春闘とは

「春闘」とは正式名称を「春季生活闘争」といい、毎年2月頃にニュースを賑わすことが特徴です。

新年度は4月スタートという企業が多いため、年度末に労働組合が労働条件に対する要求・交渉を行います。

要求が提出されるのが2月で、企業からの回答は3月頃にあるため、「春闘」と呼ばれます。

要求・交渉・決定する内容は、労働者の月給や賞与など賃金などについてですが、労働時間短縮や働きやすい仕組みづくりなどもテーマとなります。

正社員以外のパートタイマー・派遣労働者・契約社員などの労働条件や労働環境改善にも取り組まれています。

前年から準備が進められている

春闘は通例3月が大きなヤマとなりますが、実際には前年から準備が進められています。

要求が通るように円滑に交渉を進めるため、連合や産業別組織と連携しながら、8月頃から検討し始めて12月上旬には全体方針を発表します。

企業側は競合他社の動向など意識しつつ足並みをそろえた回答をする傾向が見られることから、回答日などスケジュール調整も行うことが必要です。

交通労連の賃上げ要求でどうなる?

急激な物価上昇で交通労連の組合員も厳しい生活を強いられています。

そのため春闘での賃上げに関する期待は大きく、粘り強い交渉に取り組むことが求められるといえます。

2024年4月からは働き方改革関連法による時間外労働上限規制や改正改善基準告示施行が経営者側と交渉で重要なテーマになると予想されます。

年間拘束時間が3300時間になることが賃金低下につながらないように交渉することが必要になるでしょう。

そして賃金を引き上げるためには適正な運賃が必要となり、標準的な運賃水準で適正運賃収受を実現することも課題といえます。

荷主と元請事業者間で運賃・料金を引き上げることができても、実運送を担う中小運送業者まで成果が回らない可能性もあり、その点についても検討することが必要になります。