貨客混載とは客貨混載と呼ぶ場合もあり、乗客と荷物の輸送・運行を一緒に行う取り組みです。
鉄道・飛行機・路線バス・タクシーなどの旅客事業のスペースの一部が、荷物運搬に利用されることになります。
国土交通省では、2023年6月30日から全国のタクシー・貸切バス・トラックに、乗客と荷物を一緒に運ぶ貨客混載が可能となるように、規制を緩和しました。
その背景には、各地方自治体からタクシーを使った高齢者世帯への食品や医療品など生活必需品を混載する事業について提案があったからです。
今回の見直しで、全国のタクシー事業者がトラック事業の許可を得ることにより、貨物を運ぶことができるようになります。
そこで、タクシーで荷物を運ぶ貨客混載制度について、規制緩和の背景など紹介していきます。
「貨客混載制度」とは、人の移動と荷物の輸送・運行を一緒に行う取り組みです。
鉄道や飛行機など、乗客と荷物を一緒に運びます。
トラックなど物流をメインとした荷物を運ぶ業態は貨物運送と言いますが、乗客のみを輸送する場合は旅客運送と呼ばれます。
2017年まで道路運送法でタクシーは旅客運送に特化することとされていました。
しかし当時の国土交通省が自動車運送業の生産性向上プランを発表してからは、貨物自動車運送事業の許可を取得すれば荷物を運ぶことも可能であると変更されています。
貨客混載制度の規制が緩和された背景には、深刻な物流業界の人手不足が関係します。
2024年4月1日以降は、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間となる「2024年問題」の影響により、トラックドライバーの収入が減少するとされています。
稼げない仕事と不安を感じたドライバーが業界を離れるようになれば、離職率増加を加速させることとなり、さらに人手不足を深刻化させるでしょう。
タクシーは旅客運送業として営業を行っていたものの、2017年6月30日からは一部過疎地域で貨客混載制度が認められました。
2023年6月30日には国土交通省から、全国のタクシー・バス・トラックの貨客混載も許可されています。
運送業界の人手不足を解消するためにも、今後はタクシー業界が助けとなり、営業の可能性を広げていく可能性も期待できます。
ただし積載できる貨物の重量は、原則、乗車定員数から乗車人数を差し引いた数に55キロを乗じた重量までとされています。