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物流・運送業界で掛け持ちドライバーとして働く従業員の社会保険の扱い

2020.04.24
分類:総務

物流・運送業界は人手不足の状態でありながらも、インターネット通販などを利用する方が増えたことでニーズは高いままです。

しかしドライバーの給与水準はなかなか上がらないため、中には2社を掛け持つドライバーなども存在します。

もし掛け持ちで副業をしているドライバーを雇用している場合、社会保険などはどのような扱いになるのでしょう。

2社を掛け持ってドライバーとして働くことに問題はない?

2社を掛け持つドライバーは、法的に問題ないのか?と疑問を感じる方もいることでしょう。例えば日中働く運送会社と夕方から働く運送会社が異なるという場合、労働時間が長くなるので法定労働時間を超えるのでは?と考えてしまうものです。

ただ、最大拘束時間16時間というルールは、1社においての業務における決まりなので、極端に言えば2社で引き続き24時間働き続けても問題ないといえます。

ただ、そのような働き方ではドライバーも体を壊してしまいますし、どちらの仕事でも疲れが溜まるので事故を起こす原因にもなりかねません。

例えば1社で最大拘束時間16時間働き、残り8時間を2社目で働くことは法的に問題ないとしても、ドライバーの体力的な部分で問題がおきてしまうものです。

また、どちらの運送会社でもドライバーの運転者台帳は作成が必要ですし、常時選任運転者としての要件を満たすことは必要となります。

 

気になる社会保険の扱いは?

厚生年金と健康保険を併せて社会保険といいますが、どちらも勤務先が法人ならドライバーには必ず加入させなければなりません。

勤務先が個人事業主でも従業員が5人未満なら義務ではありませんが、5人以上従業員を雇用しているのなら社会保険加入義務事業者です。

原則、週30時間以上勤務するのならドライバーは社会保険加入対象者といえますが、この場合、どちらもの運送会社で社会保険に加入することになります。

保険料の計算についても1社のみで働く時とは異なり、2つの運送会社で受け取る報酬を合わせた金額を元にして保険料を計算します。計算した金額を運送会社ごとに報酬額に応じた案分を行い、それぞれの事業所で支払うという流れです。

 

雇用保険や労災保険の扱いは?

2社で雇用されるドライバーも、メインで働く運送会社を管轄する年金事務所に対し、「所属選択・二以上事業所勤務届」を提出しますが、これにより副業に就いたことが双方の運送会社に知らされることになります。

雇用保険は週20時間以上勤務していれば加入対象となりますが、2社で重複した加入にはならず、副業として働く運送会社では雇用保険を徴収することはありません。

ただ労災保険は全員加入しなければならないので、ドライバーを雇用した時点で運送会社が労災保険を負担し加入させると認識しておきましょう。