トラックドライバーなどは長距離車両を運転し輸送するため、どうしても勤務時間が長くなってしまいがちです。
もし法定労働時間を超えてドライバーが働く、という場合には、労使間で36協定を結ぶことが必要であり、この場合も労働時間延長が可能となるのは限度基準の範囲です。
限度なく労働時間を延長してよいわけではなく、厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準)」で定められている労働時間の上限を守らなければなりません。
この改善基準では、拘束時間(休憩時間や手待ち時間など含む)は1か月293時間を上限とするとされていますが、36協定を結べば1年6か月まで、最大360時間まで拘束時間を延長可能となります。ただ、1年間でみた場合の拘束時間は、合計3516時間(293時間×12か月)を超えることはできないとされています。
さらに1日の拘束時間は原則13時間を上限とし、拘束時間と拘束時間の間に8時間以上休憩時間を入れれば最大で16時間まで延ばすことはできます。ただ注意したいのは、15時間を超えた拘束時間を可能とするのは、1週間で2回までとされていることです。
しかし2024年4月からは、2019年4月に改正された労働基準法に従うこととなり、すでに多くの業種の時間外労働は1年間で720時間が上限となっています。
運送業などのように長時間労働が常態化している分野については、5年間猶予期間が付与されており、この適用は2024年4月からとなっています。それに加え、時間外労働の上限も1年で720時間ではなく、年960時間、月80時間までとなります。
トラックドライバーの労働時間は、上限として法定労働時間に加え年960時間までとなります。そして他業種と異なり、1か月あたりの残業時間45時間を超えてよいのは1年で6か月までとい規定も適用されません。
送業で労働時間上限を超過してしまえば、疲労や過労による事故などが発生するリスクが高くなりますし、ドライバー自身の健康も守られなくなってしまう可能性が高くなります。
近年では運送業者と労働者の間で、残業代の未払いや時間外労働をめぐるトラブルなども起きており、訴訟などになればブラック企業というイメージがついて社会的な信用も失うこととなるでしょう。
業務内容から長時間労働を減少させることは容易ではないといえますが、適切な勤怠管理を行っていくようにしてください。