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物流・運送業界のドライバーは週休3日制が当たり前になる?

2021.02.05
分類:総務

長時間労働で人手不足に陥ってしまいがちなのが物流・運送業界ですが、実は大手や一部中小などでは働き方改革の流れに沿うように、ドライバーは週休3日制を導入するという動きも見られます。

長時間労働で休みが取りにくいというイメージが定着したドライバーの人手不足に悩む運送業界などにとって、労働日数や労働時間にメリハリをつけることは人材確保につなげやすくなるはずです。

週休3日制で労働時間が減るわけではない?

ヤマト運輸や佐川急便などの週休3日での働き方に続けと、中小でもドライバーの新たな働き方として導入する企業が増えつつあります。

週休3日であれば家族とゆっくり過ごす時間も増える上に、身体を休ませ元気に働くことができるため収入アップも実現できるでしょう。家族との旅行や帰省などにも対応できます。

ただ実際には、週休3日にしたからといって労働時間が減るわけではありません。

週休2日のドライバーの実働時間は18時間×5日勤務=週40時間ですが、週休3日の場合には18時間の法定労働時間を変形労働時間制で対応し、110時間×4日勤務=週40時間にするというものです。

残業がなくなることがドライバーにとって問題になることも

1日の労働時間は8時間から10時間になりますが、8時間労働なら2時間の残業になっても10時間労働なら残業代はつきません。

運送業界は残業が前提という部分もあり、残業代をあてにしているドライバーにとっては週休3日だと魅力に感じない可能性も出てくるでしょう。

さらに実働10時間でも休憩時間があるため、拘束時間は11時間になり、さらに残業代をあてにして月収をもらうにはその分長く拘束されます。

 

他の業種でも週休3日制は広がらない可能性が高い

週休3日制は他の業種や職種に広がるかといえばそれも考えにくく、たとえば製造業の場合には24時間フル稼働の工場もあるので、3交代のシフトで1日休みを増やすなら増員は避けられません。

営業職も顧客対応の社員は相手の都合により残業になることも多く、休みが増えて顧客対応ができなくなれば契約を切られるという可能性もあります。

事務職でも終わらない仕事があれば休日労働する人も出てしまい、3日の休日を満喫できなくなってしまいます。

そもそも残業を前提としている職場などの風土の問題もあるため、商習慣や業界慣行などを変えていなかなければ、長時間労働は完全週休3日制で解決できるとはいえません。

しかしトラックドライバーはこのままではさらに人材が不足し、事業継続も危ぶまれる企業も増える可能性があります。週休3日という新しい働き方も踏まえながら、何らかの対応を行っていくことが必要といえるでしょう。