ブラック企業が多いといったマイナスイメージは、人手不足が深刻化している運送業界にとって大きなダメージとなります。
運送会社によっては福利厚生などを充実させ、長時間労働をなくし従業員が快適に仕事に励むことのできる環境を整備しているため、運送業界=ブラックというイメージはなくしていかなければなりません。
そこで、運送業界のどの部分が主にブラックだとされやすいのか、マイナスイメージがつかないために知っておきたい労働時間の決まりについてご説明します。
一般労働者の労働時間は労働基準法により定めがされており、1日8時間、1週間で40時間です。
残業時間については、労使間で36協定を結ぶことにより、1週間15時間・1か月45時間まで延長することができます。
ただし運送会社で働くドライバーの場合、この36協定は適用されません。
運送会社のドライバーは1日の拘束時間は原則、13時間以内とされており延長も16時間までです。
長距離を担当するドライバーの場合、どうしても拘束時間は長くなりがちですが、規定されている労働時間を無視した労働になればブラックだといわれても仕方ありません。
運送会社はドライバーの労働・拘束時間が長くなりがちですが、2024年4月1日からは残業の厳しい条件を守ることが必要です。
2024年4月1日からドライバーも年間残業時間の上限960時間という規定を守ることが必要となりますが、次の規制は運送業ドライバーには適用されません。
・月間残業時間100時間未満
・2~6か月平均月間残業時間80時間未満
・月間残業時間45時間超え6か月以下
月平均でみれば80時間を目安としていくことになりますが、1か月あたりの上限は規定されておらず、年間960時間を超えない調整が必要です。
運送業では繁忙期など月の残業時間が長くなりがちですし、突発的な仕事が入ることも考えられますが、年間960時間は必ず守るようにしてください。
なお、ドライバーの残業時間80時間規制に対しては休日の労働時間は含まれません。運行管理者や事務職など、ドライバー以外は休日労働を含め80時間以内となっているため、ドライバーに対する規制はまだ緩やかといえます。
ドライバーの場合、休日の労働時間は含まないといっても、1週間に1日は休日を与えることが必要です。
仮に休日は残業時間としてカウントされないからと考え、ドライバーには休日に多く働いてもらおうとした場合、35%割増の賃金を支払うことになり余計なコストが発生するため注意しましょう。