国内輸送のほとんどはトラック輸送が占めている状態ですが、ここ数年の輸送重量は増加していません。
ただ、インターネット通販などを利用する方は増加しているので、個人に対する輸送ニーズは向上している状態です。収益は増えていないのに、価格が低く手間のかかる頻度の高い小口の物流が増えているということになります。
このようなことから仕事そのものは増えている状態なのですが、求人を出し募集をかけても人が集まらず、人手不足は解消されていない状態です。実際、有効求人倍率も2.6以上となり、他業種の倍近く不足しているのが現状となっています。
募集をかけても応募されないのは、仕事は増えているのに待遇面が改善されていないからといえます。
実際、国土交通省が行った調査でも、すべての産業の平均より大型トラックドライバーの年間所得額は約1割、中小型トラックドライバーは約2割低めの傾向です。
それなのに年間労働時間はすべての産業平均よりも、大型トラックドライバーが約1.22倍、中・小型トラックドライバーは約1.16倍となっており、長時間労働なのに賃金に反映されていない状態なのです。
このような運送業界の人手不足は現在深刻化しており、事業を続けることができず倒産してしまう会社もあるようです。
規模の小さい運送会社になるほど倒産リスクが高まるのは、元請けから下請け、下請けから孫請けといった運送業界特有ともいえる多重の請け負い構造も関係しているといえるでしょう。
下位層に位置するほど運賃は低くなり、人件費に充てる資金も少なくなるので、人を雇用したくても十分な給料を支払うことができないのに、業務は多く労働時間は長くなるという悪循環で、結局事業を継続できなくなってしまうのです。
また、上位層の企業の倒産や、資金難などで支払いがされなければ、たちまち下位層の運送会社の資金繰りは悪化してしまい、最悪の場合、連鎖倒産してしまいます。
運送業界は配送の需要は向上しているのに、規模の小さな企業などはドライバーを調達することができず、結果として受注することもできなくなり、資金繰りが悪化して倒産してしまうのです。運送業界が現在抱える問題として挙げられることの多い人手不足は、小規模の運送会社の事業継続に大きな影響を与えてしまっているといえるでしょう。