運送業界で働くトラックドライバーは長時間労働に及びやすいことが特徴です。ある程度事情は理解しているから…と納得するしかないドライバーもいるようですが、実際にその労働時間が給料に反映されていないケースもあるようです。
たとえば運送会社によって、荷待ち時間はただ待っているだけなので労働時間ではなく休憩時間とみなすなど、独自のルールを慣習化している運送会社も存在します。
しかし、荷待ち時間でもトラックの中で待機し、自由に時間を過ごすことができず拘束された状態では休憩をとっているといえません。
法定労働時間を超えて勤務した部分は、しっかり残業代を支払われなければならないと理解しておく必要があるでしょう。
運送業は残業代に対する問題が発生しやすいとされていますが、労働時間が長時間になりやすいことはもちろん、その働いた時間がタコグラフなどで明確化されることにより、客観的な証拠として残業代を請求されやすくなることが理由としてあげられます。
運送会社で最近多いのは、残業時間に関係なく一定の残業代が支払われる固定残業代制の導入です。
時間に関係なく支払われる残業代が同じなら、ドライバーも早く仕事を終わらせたほうが得だと考え、効率的にテキパキと業務を行うようになるなど、モチベーション向上にも繋がります。
ただ、就業規則や雇用契約書に規定のない違法な固定残業代制と判断されてしまうと、別途、残業代の支払義務が発生することがありますので、もし固定残業制度を導入するのなら次のことに注意しましょう。
・固定残業制度の導入が労働契約の内容となっていること
・固定残業代に該当する部分が固定給部分と明確に区分されていること
・固定残業代制により定められた時間を超えた残業時間が発生した場合には割増賃金を支払うこと
この注意点に加え、設定時間が45時間を超えている、または固定残業代部分が最低賃金や割増時間外手当額を下回っている場合も問題になるため、その点にも注意してください。
もし固定残業代制が無効であると判断された場合、未払いとなっている残業代を計算して支払うことになってしまいます。
ドライバーとの残業代を巡るトラブルにも繋がってしまいますので、もし固定残業代制を導入するのなら、適切な内容で規定を定めておくことを忘れないようにしてください。