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運送業者が設定する「試用期間」の基礎知識とトラブルを防ぐための対処方法

2022.02.23
分類:総務

運送業者が従業員を雇用したとき、一定の「試用期間」を設けることもあるでしょう。

試用期間中の労働条件は、通常の雇用の際と若干違いがあるものですが、そもそも「試用期間」とは何のために必要なのか、雇用条件の違いなどについて説明していきます。

「試用期間」とは何のための期間なのか

「試用期間」とは、雇用した従業員が実際に業務を遂行する能力を保有しているのか、社風を理解して戦力として働くことのできる人材か、雇用した側が判断するためのお試し期間です。

採用された労働者側にとっても、業務の内容や社風が希望に添っているのか、引き続き働くことができる職場か判断するための期間ともいえます。

試用期間が終了した後は、企業と労働者の双方で問題なしと判断され、合意のもとで本採用されることになります。

 

「試用期間」と「研修期間」の異なる点

「試用期間」ではなく「研修期間」の場合は、入社した後で業務を行うにあたり、必要な知識や技術を得るための期間を指しています。

 

「試用期間」を設けるときの注意点

人を雇用した後で試用期間を設ける場合には、次のことに注意して設定するようにしましょう。

契約書に記載しておく必要のある情報

企業は雇用した労働者に対し、雇用条件を記載した「労働条件通知書」や「労働条件通知書兼雇入通知書」を作成・交付しなければならないと労働基準法で決められています。

試用期間を設けるときには、期間・賃金などについて通知書や契約書に記載し、本人に対し説明しておくことも必要です。

会社の就業規則にも、試用期間の有無と試用期間中の身分や労働条件の明記が必要となります。

試用期間をいつからいつまでに設定するか

試用期間の長さについては、法律上、特に決まりはありません。

業務ごとの修練期間など勘案した上で設定することが多いですが、正社員採用の場合には6か月未満で設定されることが多いようです。

試用期間中の待遇について

試用期間中は本採用されたときよりも低い賃金が設定されることもありますが、法律上の最低賃金を下回らない範囲であれば特に問題はありません。

ただし残業が発生すれば残業代の支払いが必要となり、労働保険と社会保険も本採用ではなく入社のタイミングで加入が必要です。

 

「試用期間」であれば解雇できるのか

試用期間中の場合、採用した労働者の職業能力や適性の有無などから判断したのであれば、本採用の可否を決めることはできます。

ただし客観的・合理的・社会通念上やむを得ない理由などが求められるため、企業側が何の改善策も取らず、仕事の覚えが悪いことや社風に雰囲気が合わないといったことを理由に解雇することはできません。