運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

物流施設などで荷卸しするまでの荷待ち時間に対する扱いに注意

2019.12.01
分類:総務

トラックドライバーは長時間労働が長年社会問題として取り上げられていますが、その要因の1つとして挙げられるのが業務の荷待ち時間です。この荷待ち時間は荷物を積み下ろす荷卸しのためにドライバーが待機する時間のことを指します。

いくらドライバー側が業務を効率化させて時間を短縮しようと心掛けたとしても、この荷卸しまでにかかる荷待ち時間が長時間になってしまえば意味がありません。

また、残業時間を隠す目的で使われることもあるなど、けっして無視することができない問題といえるでしょう。

荷主に強く意見できない運送会社の立場

荷待ち時間には、荷主や施設の都合によりドライバーが荷卸しまで待機している時間ですが、さらに荷物を積み下ろすまでの待ちや指示待ちの時間も含まれます。ドライバーで調整することができない時間なので、仮に2時間や3時間待たされたとしても何も文句をいえないのです。

荷主が作業効率を改善できないものか?と思うかもしれませんが、立場上、強く意見することができないのが現状です。

 

ドライバーのサービス残業を増やさないために

指定された時間にトラックは到着しているのに、すぐに積み下ろしできないのはドライバーにとっても不満を抱えることになるでしょう。物流施設でトラックが列を作り、待ち続けている光景はめずらしいことではないのです。

しかし荷主から待ち時間に対する追加料金など支払われず、もちろんドライバーの給料にも反映されません。

このドライバーの荷待ち時間を休憩時間として捉える事業者もあるため、違法な長時間労働にならないよう国は「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令」を201771日に施行し、ドライバーの乗務記録を記載するように運送会社に義務付けています。

対象となるのは車両総重量8トン以上、もしくは最大積載量5トン以上のトラックにドライバーが乗務した場合で、荷主の都合で30分以上待ったときには記載する必要があります。

荷待ち時間中は拘束された状態ですので労働時間ですので、労働時間がオーバーすれば残業代が発生します。休憩として扱うことはサービス残業の温床にもなることを理解しておく必要があるでしょう。

乗務記録に必要な内容

義務付けられた荷待ち時間の乗務記録ですが、次の内容が必要です。

・荷主から指定された到着時刻、または集荷地点などに到着した時刻

・荷待ち待機を開始した時刻と終了した時刻

・荷造りや仕分けなどの附帯業務を開始した時刻と終了時刻

・荷積みと荷下ろしを開始した時刻と終了した時刻

・集荷地点などからの出発した時刻

記録を積み重ねれば国も運送会社やドライバーに対し、過度な要求を行う荷主に是正・勧告の指導を行うことが可能となるので、ドライバーの労働環境が改善されることに繋がることが期待されています。