運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

物流トラックの運賃と積込料や待機時間料などは別設定が必要なことに不満の声も?

2019.12.06
分類:総務

トラック運送の取引環境や労働時間を改善させるため、車両留置料は待機時間と積み込み・取り卸し料に分けられ、運賃とは別扱いであることと変更されました。

この待機時間や積み込み・取り卸しは、それまで運賃に含まれてしまう実態があったため、無駄な労働時間を増やすこととなり、ドライバーの長時間労働の要因となっていました。

ドライバーの負担を軽減するための方策だったようですが、荷主からは不満の声もあがっているようです。

標準運送約款はどのように変更された?

それまでの標準運送約款は、積み込みや取り卸しの費用について記載されていなかったため、それらを別途料金で設定することはなく、運賃に含まれることが通例化していたのです。

そこで201711月、国土交通省によって標準貨物自動車運送・標準貨物自動車利用運送に関する約款などの改正が行われ、トラック運送の運賃料金の収受ルールが明確化されることとなったという流れです。

運送以外の役務には対価を支払うこととなり、運送状への料金記載などが発生することになりました。料金として積み込みや取り卸しに対する対価は積込料・取卸料とし、荷待ちの対価は待機時間料とすること、さらに付帯業務の内容に横持ちなどを明確化することとされています。

 

まだまだ荷主に甘い規定?

物流現場でドライバーが行っている役務は慣習化していて、個々の取引関係なども多種多様です。

料金区分の明確化や待機時間料の規定、棚入れやラベル貼りといった附帯業務の内容も明確化することが求められるわけですが、トラック業者がこの約款に基づいて運送契約の見直しを荷主に求めて拒否されたとしても、貨物自動車運送事業法で強制力や罰則などを規定しているものはありません。

しかしトラック事業者側は、運送料金変更届出や約款の認可申請、また、新たな約款を営業所に掲示していなければ監査の対象となり違反とみなされます。

 

荷主の立場としては不満を感じる理由

ドライバー不足を解消させるためには労働環境を改善させることが必要です。そのためにもトラック事業者が運賃・料金を適正に収受できることが必要不可欠ですが、荷主から不満の声が漏れるのは附帯作業や待機時間が荷主の指示なのか、それとも運送会社の都合によるものか明確ではいことが理由のようです。

実際、運送以外の役務は多岐に渡るので、これまで長い間運送業務の一部だとして扱われていました。そのため荷主の立場としては、画一的なルールで縛るのではなく、商慣習が尊重されてもよいのではと考えてしまうもののようです。