いよいよ2024年4月1日からは、運送業界でも残業時間年間960時間を上限とした「改正労働基準法」に従うことが必要となります。
残業時間が厳しくなるため、運送事業者の運営もさらに厳しくなることが予想されますが、2年後に向けた準備を今から行っておいたほうがよいといえるでしょう。
そこで、現在取り決められている「改正労働基準法」の要点について解説していきます。
2024年4月1日からは、これまで特例措置で延長されていた運送業でも、運送業ドライバーに対し年間残業時間上限960時間の規制が適用されます。
労働基本法では、労働時間について次のように定めています。
・1日8時間まで(休憩時間1時間除く)
・1週間40時間まで
この範囲を超える労働時間は、残業時間として扱われます。
2024年4月1日から適用される決まりで、残業時間にあてはめた場合には、月平均80時間が目安となりますが、1か月あたりの上限規定はされていません。
繁忙期や突発的な仕事で、月の残業時間が80時間を超えた場合でも、年間960時間を超えなければ問題ないと考えられます。
運行管理者や事務職などの残業時間80時間規制に休日労働が含まれますが、運送ドライバーの場合には残業時間80時間規制に休日労働時間は含まれません。
ただし休日労働は含まないとしても、1週間に1日は休日を与えることが必要です。
さらに休日の残業時間はカウントされないため、休日にできるだけ長時間働いてもらおうとすれば、休日割増35%の賃金を支払うことになってしまうでしょう。
すでに残業時間年間上限720時間規制は、中小企業では2020年4月1日からスタート開始されています。
運送業は、2024年4月1日から年960時間の上限規制の対象となるため、今からドライバーの労働時間について対応しておいたほうがよいといえます。
なお、法改正による次の規制については、運送ドライバーには適用されないとされています。
・月間残業時間100時間未満
・2~6か月平均月間残業時間80時間未満
・月間残業時間45時間超6か月以下
ただし年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対しては、年5日以上取得させる義務は2019年4月1日から始まっています。
違反すると30万円以下の罰金の対象となるため、この点についても適切な対応が必要です。