運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業で配達遅延の問題が起きたときは誰が責任を取るのか?

2022.07.16
分類:リスク

宅配便など運送業者が顧客から荷物を預かった後は、破損・汚損・紛失・遅延など様々なリスクが発生しないように注意しなければなりません。

しかし思いもよらなかった交通渋滞や事故などで配達遅延などの問題が起きることもあり、その場合には運送会社がどこまで責任を負うのか規定しておくことが必要です。

そして荷物を依頼する顧客も、万一のリスクに備えて保険などで備えておいたほうが安心といえるでしょう。

顧客の立場で備える保険として「運送保険」がありますが、実際にどのような事故などに対応できるのか、配達遅延の問題の解決につながるのか解説していきます。

運送保険で補償される事故とは

配送遅延の問題を解消するための備えになると考えられるのが運送保険ですが、事故で荷物が損害を受けたときの損害賠償責任を負うことを考えれば、加入しておきたい保険ともいえます。

運送保険では、輸送中の盗難・破損などによる貨物の損害を補償するため、高額で壊れやすい荷物などの場合は加入しておいたほうが安心です。

ただし台風での高潮により物流施設が冠水する天災や、配送トラックが追突されて荷物が大破する不可抗力による事故での損害は賠償の対象にはなりません。

また、荷物1個に対する責任限度額など設定することが多く、設定した保険金額の範囲内で顧客が補償を受けることが可能となり、保険料は顧客負担となります。

運送保険の補償内容

運送保険で補償されるのは、輸送中の荷物に偶然や外来の事故により発生した損害です。

盗難・紛失・破損・汚損・水濡れ・火災による損害などで補償されることになりますが、保険金が支払われないケースも理解しておくようにしましょう。

保険金が支払われないのは、主に次のようなケースの荷物の損害です。

・保険契約者・被保険者・受取人・それぞれの法定代理人・使用人の故意または重大な過失による損害

・自然消耗・腐敗・さび・蒸れ・変色・変質など荷物の性質による損害

・梱包が完全でなかったことによる損害

・運送遅延による損害

・慰謝料・違約金など間接的な損害

・地震・噴火・戦争・内乱・検疫・公権力による処分による損害

補償されない損害に、運送遅延による損害も含まれるため、運送保険では運送の遅延による損害に備えることはできないといえます。

配達遅延は突然の交通渋滞や事故など、運送会社側でどうすることもできない要因を含むこともあるため、万一配送遅延が起きたときの責任は事前に取り決め約款などに記載しておいたほうがよいでしょう。