EC大手といえる「Amazon」は、令和2年3月から「置き配」による指定サービスをスタートさせており、不在でも玄関先や宅配ボックスなどに荷物が置かれることで受け取りが可能となりました。
玄関先で配達員と応対せずに受け取ることができるため、新型コロナウイルス感染拡大の影響による非接触サービスの1つとして注目されていますが、留守のときに玄関先に置いてもらった荷物がなくなるといったトラブルなども発生しています。
そこで、運送会社が注意したい「置き配」を巡るトラブルの内容と、正しい対処法について説明していきます。
宅配便の「置き配」は、これまでであれば不在のときの再配達の手間を省くためのルール違反というイメージでした。
しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で、EC市場が普及・拡大し、むしろ置き配を好む受取人も増えています。
置き配であれば、配送員と顔を合わせずに荷物の受け取りが可能となるため、感染症予防の観点でも有効です。
受取人が事前にどの場所に荷物を置いてほしいか指定しておき、配送員はその場所に荷物を置けば、受取人から署名や押印を受け取ることなく配達完了となります。
仕事で日中は在宅していない方や、育児や介護で在宅中も荷物の受け取りができないタイミングがある方など、抱える問題を解決する宅配方法として注目されています。
大変便利なサービスである置き配ですが、玄関先などに置いたはずの荷物が盗難被害に遭うこともあります。
その場合、発生した損害を補償するのは誰なのでしょう。
そこで、次の3つのケースから誰が損害を補償することになるか説明していきます。
・荷送人と受取人のどちらも置き配に了承しているケース
・断りなく無断で置き配対応したケース
・誰が盗んだか特定できたケース
置き配は正規のサービスのため、荷送人と受取人のどちらも了承した状態で置き配を利用したのなら、宅配便業者も荷送人のどちらも責任を問われることはありません。
ただ、Amazonなどでは盗難被害に遭った方が、被害発生をサポートまで連絡し、事情を説明すすることで同一商品を再送してもらったり在庫がなければ返金してもらったりできます。
一般の保険会社などでは置き配による盗難被害を火災保険の対象とする場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
受取人に断りを得ずに置き配し、盗難被害に遭ったときにはどうでしょう。
受取人は了承していなくても荷送人が置き配指定していたのなら、荷送人が損害の責任を負うことになると考えられます。
受取人と荷送人のどちらも了承していなかったときは、荷物を勝手に置いた宅配便業者が責任を負うこととなるでしょう。
荷物を盗んだ加害者が特定できたときには刑事事件として扱われることになるため、加害者に対し金銭の支払いを交渉するか、損害賠償請求の訴訟を起こすことが必要となります。
仮に弁済するので被害届を取り下げてほしいと示談交渉されたときには、受け入れることで裁判せず補償を受けることができます。