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運送業でも注意しておきたい自転車保険の加入義務化

2022.11.04
分類:リスク

近年、自転車による高額な賠償金請求につながる重大事故が後を絶たないといえます。

自転車で事故を起こしたとき、自転車保険に加入していれば賠償金に悩まされることはなかったというケースもあるため、自転車保険の加入義務化が各自治体で進むようになりました。

運送業でも従業員が自転車を使用する場合、十分に注意しておきたいことですが、加入義務化が進む自転車保険とはどのような保険なのか説明していきます。

自転車保険の加入義務化が進んでいる理由

自転車保険の加入については、兵庫県で201510月に義務化されてから様々な自治体でその流れが広まっているといえます。

なぜ自転車保険の加入義務化が進んでいるかというと、自転車走行中に発生した事故の被害者と加害者の経済的な負担も軽減させる必要があるからです。

自転車で事故を起こしたとしても、人にケガを負わせることやモノを壊すことは道路交通法上の事故として扱われることとなり、損害賠償金も高額になるケースがあります。

2013年に自転車走行中の男子小学生が歩行者の女性と正面衝突し、意識が戻らない状態となった事故では約9500万円の賠償金が発生することになってしまいました。

さらに2014年には赤信号を無視した自転車が横断歩道を歩いていた女性と衝突して死亡事故を起こしたことで、約4700万円の賠償金も発生しています。

交通事故は自動車だけと考えず、たとえ自転車により起きた事故だとしても、損害賠償金は自動車やバイクの事故とそれほど変わらないため、治療費・休業中の給与の補てん・慰謝料など損害賠償の備えのために自転車保険への加入義務化が進んでいます。

 

自転車保険に求められる補償内容

20224月時点の自転車保険加入義務化を実行している自治体は30都府県1政令市です。

義務化はしていない自治体のうち、9道県は努力義務を条例で定めています。

加入が求められている自転車保険は、被害者に対する補償が可能となる個人賠償責任保険ですが、2億円以上の補償があれば高額な賠償請求にも備えることができるでしょう。

 

自転車保険加入義務化の対象者

自動車保険加入義務化の対象となるのは、自転車を使用する未成年から高齢者までのすべての人です。

義務化されている場合でも、対象となるのはすべての住民が対象ではなく自転車の利用者だけですが、義務化されている地域へ自転車で通勤や通学する人や観光する人なども対象となることがあります。

家族全員まとめて補償される保険なら、それぞれが加入するより保険料を抑えることができます。