運送業では常にトラックを使い荷物を運ぶため、台風や集中豪雨など風水災による備えが重要です。
運送事業者の付保需要が高まっているリスクともいえるため、荒天による大きな爪痕を残すような風水災が起きた際の、貨物損害に関する賠償責任や危険負担は理解しておく必要があるでしょう。
そこで、運送業の風水災発生時における賠償責任に備えるための保険について説明していきます。
貨物損害に関する補償に備える保険の場合、契約主体となるのは荷主です。
物流用語では、物流会社の顧客が荷主であり、発送側が発荷主(売主)、受け取る側が着荷主(買主)と呼ばれます。
貨物が補償対象である物保険は「貨物・運送保険」ですが、種類として次の3つに分けられます。
・外航貨物海上保険
・内航貨物海上保険
・運送保険
それぞれ簡単に説明していきます。
外航貨物海上保険は、国際間輸送の貨物が対象となる保険です。
そのため売主と買主が国をまたぐクロスボーダー取引の場合、安心・円滑に商取引を進めるため、輸送と金融だけでなく保険のパッケージされていることが多いといえるでしょう。
取引条件により、危険負担の範囲や保険を売主と買主のいずれが手配するかなど決められます。
内航貨物海上保険は、国内で船舶輸送される貨物を対象としており、国内に売主と買主が所在して船舶輸送による国内取引で使用されています。
運送保険は、国内の陸上・航空輸送の貨物が対象で、国内に売主と買主が所在し陸上・航空輸送による国内取引で使われています。
運送業者や倉庫業者など、物流事業者側が受託貨物に発生した損害負担に備えて担保するための保険は、「運送業者貨物賠償責任保険」です。
国内の物流事業者用のものもあれば国際物流事業者向けもあり、さらに国内外の物流を一貫して引き受ける事業者向けのものもあるため、内容を確認した上で取引の形態に合ったものを選びましょう。
台風や集中豪雨など、風水災による貨物損害については、その負担を巡って荷主と物流事業者によるトラブルが起きることもあります。
物流業者が契約の主体である「運送業者貨物賠償責任保険」では、天災による貨物損害は免責の対象となっていることや、過去に風水災による少額の損害は物流事業者が負担していたなど商習慣などが背景にあるようです。
仮に風水災が補償される場合でも、物流事業者は受託する貨物の金額を把握できていないことで、トラブルにつながるケースも見られます。