運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送ドライバーを外国人技能実習生で補った場合の問題とは?

2022.12.03
分類:リスク

運送業界のトラックドライバーは深刻な人手不足にあるといえますが、人材確保に向けた国の取り組みや対策のうち、技能実習生や特定技能などの外国人労働者の受け入れを検討するケースもあるようです。

しかし、外国人労働者の状況と実際の運送ドライバーの現場での仕事内容を見たとき、本当に受け入れてよいのかという問題があると考えられます。

運送ドライバーに外国人がほとんどいないのはなぜか

日本国内で外国人労働者の姿を目にすることは多いですが、物流倉庫の仕分け作業などの現場やコンビニエンスストアなどで活躍しているケースがほとんどです。

物流を担う運送ドライバーとして働く外国人の姿はほとんど見ることができませんが、それには次の3つが関係しているといえるでしょう。

・運送業に従事する目的での来日不可

・留学生の就労時間の限度

・留学ビザの在留期間

それぞれ説明していきます。

運送業に従事する目的での来日不可

外国人が日本で労働するときに必要になる就労ビザは20種程度ありますが、運送業はどれにも当てはまらず、技能実習制度も対象外のため運送業に従事することを目的して日本に入国することはできないといえます。

留学生の就労時間の限度

運転免許証については、日本に在留している外国人なら取得できます。

留学生が大型免許を取得し運転業務に就くことはできると考えられますが、留学生の就労は入管法で1週間28時間までとされており、長時間労働になりがちな運送ドライバーとして働くことは難しいと考えられます。

留学ビザの在留期間

留学ビザの在留期間は最長で43か月とされており、中型免許を取得するには普通自動車免許取得後原則2年、大型免許なら3年以上経過していなければ取得できません。

そのため4年3か月の制限において、すぐに普通免許を取得し数年後に教習所に通って免許取得を目指すと、コストと時間がかかりすぎてしまい、実際に働く期間が短くなると考えられます。

 

外国人労働者が緑ナンバートラックに乗るハードルは高い

外国人労働者が緑ナンバートラックに乗るハードルはとても高いといえますが、運送現場で働く外国人のほとんどは就労ビザではなく定住や永住できるビザを取得している方でしょう。

そもそも技能実習制度は取得した技能や技術などを開発途上国に移転してもらうことであり、人手不足解消のためではありません。

しかし実際には人手不足の業界に人材を送り込む手段として使われることが多く、人材がほしい時期にのみ都合よく門戸を広げていることも問題です。

外国人労働者を受け入れるのなら、受け入れ側の国際感覚の育成や教育を行い、何のために受け入れるのか再度考え直すことが必要といえるでしょう。