荷役作業中、通行人に接触しケガを負わせてしまった場合、賠償責任を追及されることになります。
そのような事故に備えて、運送業者が加入しておきたい保険が「請負業者賠償責任保険」です。
そこで、荷役作業中に通行人と接触することで発生する賠償責任に備える方法や、そのための保険について簡単に紹介していきます。
「荷役作業」とは、船荷を上げ下ろしすることを語源とした言葉で、陸上貨物で輸送機器に積み込んだり荷下ろしたりすることです。
他にも倉庫やヤードなどに対する入出庫を総称して、荷役作業と呼ぶこともあります。
具体的な荷役作業には、以下の作業が挙げられます。
・積み荷の上げ下ろし・固定
・手作業やフォークリフトによる荷物の移動
・車上荷物に対するシート掛け
人力で行うものもあれば機械を利用するものもあり、荷役作業を行うフォークリフトやクレーン車などは荷役機械と呼ばれます。
また、荷役機械の操作だけでなく、機械の誘導や指示も荷役作業の一部に含まれるといえるでしょう。
陸上貨物運送事業の主な作業は、
・トラック運転
・荷役作業
の2つです。
2つの作業で事故が起きやすいのは荷役作業を行っているときで、厚生労働省が公表している「令和2年労働災害発生状況の分析等」によると、令和2年の陸運貨物運送事業の死傷事故件数は建設業を上回っていました。
このうち、交通事故は792件であるのに対し、荷役作業中の墜落・転倒・動作反動・無理な動作・はさまれ・巻き込まれによる事故は11,242件であり、全体の約7割を占めていたとされています。
荷役作業中は死傷事故の発生割合が高いため、十分に注意が必要であるといえるでしょう。
荷役作業中に転落してしまう事故だけでなく、荷役作業中に通行人にケガをさせてしまうことや、台車などで壁に傷をつけてしまうといったケースも考えられます。
このような場合、の第三者に対して賠償責任を負うことになってしまいます。
賠償リスクに備えるためには、たとえば次のような請負業者賠償責任保険に加入することなど検討できます。
請負業者賠償責任保険とは、
・請負作業遂行中に発生した偶然な事故
・請負作業遂行のために所有・使用・管理している施設の欠陥
・管理不備により発生した偶然な事故
に起因し、他人の生命や身体を害した場合や、他人の財物を損壊したときに負う損害賠償責任に対し保険金が支払われる保険です。
万一に備え、検討してみるとよいでしょう。