運送業では常にトラックを運転することになるため、交通事故などに注意が必要ですが、他にも損害賠償責任に備えるためのPL保険に加入しておくことも求められます。
荷物を運んでいるときに破損させてしまったり顧客リストが漏えいしてしまったりなどのリスクに備えておくことが必要です。
そこで、PL保険とはどのような賠償責任に対して補償されるのか、備えの必要性もふまえて紹介していきます。
「PL保険(生産物賠償責任保険)」とは、たとえば製造業者が製造したり販売したりした製品や工事業者による仕事の結果で他人にケガを負わせたり他人の物を壊したりしてしまったことで、法律上の賠償責任を負うことになった場合に補償される事業者向けの保険です。
PL保険と一般的な賠償責任保険は、どちらも賠償責任を負ったときのために備えて加入することは共通しています。
いずれも業務において発生しやすいリスクへ対応する法人向けの保険といえますが、PL保険はあくまでも生産物や仕事の結果で起きた事故に対する損害を補償します。
そのため作業中の従業員が健康被害を負ったときなどは、PL保険で補償されません。
さらにPL保険は、製造業だけでなく工事業・販売業・飲食業・請負業など様々な業種で加入することができる保険であり、製造・販売・業務上の原因で第三者に身体的または物損的な損害を与えたときの費用を負担します。
トラックで運んでいる貨物に損傷が発生したときには、運送ドライバーがすべてまたは一部の損害賠償を負うケースはめずらしくありません。
しかし、運送ドライバーの仕事は長時間労働になりやすいのにもかかわらず、賃金は仕事に見合わないというイメージが強いため、貨物に発生した損害分まで弁償させられては割に合わないと感じることでしょう。
運送ドライバーは人手が足りていないため、人材不足状況をさらに悪化させる可能性もあります。
ただ、中小の運送会社は経営が厳しいことが多いため、会社が貨物の損害まで負担していては経営を続けられないと考えることもあるようです。
また、運送ドライバーに過失がある場合には、会社が損害を全額負担することに不満を抱えるケースもあるといえます。
貨物が損害を被れば、運送品自体の価額だけでなく販売機会逸失とちった被害も二次的・間接的に発生することになります。
以上のことから、賠償責任に備える保険には万一のためにも加入しておいたほうがよいといえるでしょう。