物流事業者は業務を請け負いながらいろいろな商品を取り扱います。ただその中には許認可が必要になるものがあり、たとえばインターネット販売などでも取り扱われることがある化粧品やコンタクトレンズなども含まれます。
病院などで使用する医療機器の物流においても、物流倉庫としてはそれほど一般的とはされていない「高度管理医療機器等販売業貸与業許可」などが必要です。
広い範囲で医療機器物流を一括運用するために必要な許可制度が高度管理医療機器等販売業貸与業許可です。
病院などで扱われる医療機器は、医薬品、医療機器等の品質、有効性・安全性の確保などに関する薬機法という法律で、次の4つに分けることができます。
密接に人体にかかわり、機器に不具合が発生したときに生命危機や人体リスクに直結する機器を指しています。これらの販売・貸与には高度管理医療機器販売業貸与業の許可を取得することが必要ですが、人工呼吸器、輸液ポンプ、縫合糸、AED、ペースメーカー、透析機器、放射線治療機器、カテーテル、注射針、コンタクトレンズなども含まれます。
人体とのかかわりが大きい医療機器であり、機器に不具合が発生したときには人体リスクが高くなります。そのため、これらの販売・貸与には有資格者を管理者として設置し、届出を行わなければなりません。
補聴器や家庭用電気治療器、医療機関向けの管理医療機器、画像診断機器、造影剤注入装置、電子体温計、電子式血圧計などが該当します。
家庭で使用されることを想定した医療機器であり、人体リスクが比較的低いことが特徴です。これらの販売・貸与には届出は必要となるものの、管理者の設置はとくに必要ありません。
家庭用電気マッサージ器、家庭用永久磁石磁気治療器、アルカリイオン整水器などが該当します。
きわめて人体に与える影響が低い医療機器なので、許可や届出などは必要なく誰でも販売・貸与が可能です。視力補正用眼鏡や視力表、X線フィルム、聴診器、水銀柱式血圧計、などが該当します。
物流業者が直接、高度管理医療機器を販売・貸与するわけではないため、そもそも許可を取得することが必要なのか?と思うかもしれません。
ただ、荷主側の立場にしてみれば、自社と別の場所に物流センターを構えることになるので、安心して管理業務を委託する上で取得しておいたほうがよいといえます。
入出庫の記録、シリアル番号管理、定期監査など、安心できる管理体制を構築することが必要なのです。