新型コロナウイルス感染症の流行は、世界経済には甚大な影響を及ぼしている状況です。
物流業界でもパンデミックといえるこの状況をクリアすることを考えなければなりませんが、地域ごとに足並みをそろえることが必要である点が大きな課題となっているといえます。
1つの地域で新たな感染者が減少しても、事業再開により感染者が再度増加に転じてしまうとまさに元の木阿弥です。
一旦は緊急事態宣言の発令により落ち着いたと思われた新規感染者数が、再び増加傾向にあるのはまさにこの元の木阿弥といえる状況と考えられます。
単に復旧できればよいと考えるのではなく、すべての世界的な被害と認識し、業界内で連携することも必要といえます。
パンデミックが起きているといわれる状況で、サプライチェーンを復活させるには自社だけでなく調達先や納品先が生産活動を継続させることが必要です。
調達先や納品先だけでなく、競合他社とも協力し復旧を円滑に進めていくことが求められるでしょう。
物流業界と地域が協調を図るために、国や自治体、業界団体などでどのタイミングでどこまで復旧させるのか、基準と中間目標地点を示すべきといえます。
パンデミックが地震や水害などの災害よりも対処が困難なのかといえばそうとも限らず、将来の見通しは立たないものの突如として甚大な被害が発生するわけではない点が地震や水害とは異なる点です。
日々変化する環境に対応できれば、被害を最小限に抑えることが可能でしょう。そして建物や設備に被害が及ぶこともないため、テレワークに移行すれば事業活動をある程度は継続させることもできます。復旧する上で大きな設備投資の必要がないことも優位なところです。
リスクマネジメントを行う対象となる事象は、パンデミック・地震・水害以外にも、雪害・風害・火災・サイバーアタック・紛争テロなどいろいろです。
これらの災害や事故により発生する危機的な事象を想定し、BCP(事業継続計画)やBCM(事業継続マネジメント)を構築することが必要となります。
しかしパンデミック・地震・水害などそれぞれの危機的事象に応じたBCPの策定やBCM構築は手間がかかり、実際の運用にも適しません。種類が増えれば不測の事態に対し柔軟な対応が難しくなってしまうからです。
今回の新型コロナウイルス感染拡大といったパンデミックのように、想定外の危機的事象が起きた場合でも対応できるよう、ツールを単に増やすのではなく多様な事態に対応可能となる仕組みを構築することが必要といえます。