近年に限ったことではなく、物流業界ではトラックの運転者が不足していることが問題視されています。
トラック運転者が足らないことで、物流危機や引っ越し難民など様々な問題を引き起こしているといえるでしょう。
そのため長時間労働の是正や労働環境の改善などが必要とされていますが、令和6年度からは時間外労働に罰則付きの上限が設けられることとなり、年960時間以内におさめなければなりません。
他にもトラック運転者に関する様々な法律改正などが注目されるところですが、すでにスタートしている睡眠不足運転者の乗務禁止についても確認しておきましょう。
旅客自動車運送事業運輸規則および貨物自動車運送事業輸送安全規則が一部改正されたことで、
・乗務員を乗務させてはならない事由に「睡眠不足」が追加
・乗務員の乗務前などの点呼で、睡眠不足で安全運転の妨げとなる状態でないか報告と確認が必要
・運転者が遵守するべき事項に睡眠不足である場合の申し出が必要
とされました。
すでにスタートしている睡眠不足のトラック運転者は乗務禁止という改正輸送安全規則ですが、点呼の際にトラック運送事業者が睡眠不足でないかその状況を確認しなければなりません。
ただ、トラック運転者によって睡眠時間は個人差があるため、何時間必要かという判断は難しいと考えられます。
そのため睡眠不足かどうかは自己申告となるため、本当に効果が見込めるのか疑問視する声もあるようです。
睡眠不足でないかという判断は、トラック運転者の自己申告だけでなく顔色や仕草、話し方なども含めて普段と違った様子がないか、運行管理者が総合的に判断することになります。
いくらトラック運転者が睡眠不足ではないと申告した場合でも、運行管理者等が睡眠不足と判断すれば乗務させてはならないということです。
国土交通省ではマニュアルとして、6~7時間連続して睡眠をとるように推奨していますが、最低でも乗務日前日の睡眠時間は5時間以上必要と考えられます。
さらに週に2回以上は睡眠環境が整備された場所で6時間以上、夜間において睡眠を確保することに加え、乗務前の点呼で直前に就寝した時刻と起床時刻を確認することも取り組みとして必要としています。
健康状態だけでなく睡眠状況も確実に把握し、睡眠不足による交通事故が起きないように、しっかりと業界をあげて取り組んでいくことが求められるでしょう。