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物流企業の従業員が把握しておきたい通勤災害に該当するケースとそうでないケース

2020.12.14
分類:リスク

物流を担う企業では、業務中だけでなく通勤途中で従業員が事故などに遭ったとき、補償される労災を詳しく理解できているでしょうか。

労務災害には業務災害と通勤災害とあるため、どこまでが通勤でどこからが業務として判断すればよいかなど、迷うこともあるようです。中には通勤災害に該当すると思っていたのに、補償に含まれなかったというケースもあるため正しい理解が必要といえるでしょう。

そこで、どのような場合に通勤災害と認められるのか、認定される基準についてご説明します。

業務災害と認められるケース

業務災害とは、従業員など労働者が業務中に発生した事故などでケガを負ったときや、業務により疾患を患ったときなどが該当します。

業務とケガ(病気)の発生に一定の因果関係が認められる業務起因性、そして事業者の支配・管理の下にある業務遂行性という2つの条件を満たしたときです。

仕事中に業務を原因とした事故などが発生し、それによりケガを負ったり病気になったりという場合に業務災害として認定されます。

 

通勤災害と判断されるケースとは?

一方の通勤災害とは、従業員など労働者が通勤途中でケガを負ったり病気になったりという場合に認められます。そのためポイントとなるのは通勤中だったかどうかで、通勤の途中で寄り道したときや、通勤経路から外れた場所を通っていたときなどは認められないこともあると考えられるでしょう。

 

通勤災害の認定基準

通勤災害は、通勤の範疇のルートにおいて事故が発生したことで損害を負った場合に認められます。

ここでの通勤とは、自宅と会社間や、事業所から他事業所間などを合理的なルートや方法での移動です。

そのためルートがそれている場合などは通勤災害と認められないと考えられます。

ただルートをそれた場合でも、例外的に認められる行為であればその後の移動も通勤と認められることになります。

例外的に認められる行為とは、

・日用品の購入

・職業能力訓練を受けるための行為

・選挙投票

・病院などの受診

・要介護状態の家族や親族を継続的または反復的に行う介護

などです。

通勤経路上のガソリンスタンドで給油した後の帰路につく場合や、夕飯を取るため食堂に立ち寄った場合、仕事帰りに理髪店に立ち寄った場合での帰路で災害に遭った場合には通勤災害として認められることになります。

ただし通勤経路上のカフェで友人とコーヒーを飲むなど私的な理由での帰路や、就業後に職場内で行うサークル活動(業務終了から退社まで3時間)後の帰路などで事故に遭っても通勤災害とは認められません。

また、通勤途中で通勤や就業には関係なく、合理的といえる通勤ルートを外れる場合で事故に遭ったときも通勤災害とは認められませんので、従業員には通勤災害として認められるケースと認められないケースをしっかり伝えておくことが必要です。