運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業で労働災害を減少させるために必要なリスクアセスメントとは?

2021.05.01
分類:リスク

どの産業や業種でも、作業内容が多岐に渡る場合には効率的に仕事を進めることができる方法が採用されたり機械化されたりしていますが、実態や特性に合う安全衛生対策も同時に必要です。

運送業界でも人手不足が深刻化しているため、従業員の負担を減らすため業務を効率化させることは大切なことといえます。

しかし同時に職場の様々なリスクを見つけ出しておき、発生するまでに先手を打ち対策を施しておくことが必要となるでしょう。

労働災害を減少させる手法としてリスクアセスメントがありますが、運送業界に限らずどの業種でも取り組みが進められています。

運送業界の職場で発生する主なリスクとは

運送業界で働く従業員に対するリスクとして挙げておきたいのは、荷の積み込み・積み下ろし・荷役作業です。

リスクの高い作業や場所を絞り込み、対策できるところからリスクアセスメントしていきましょう。

陸上貨物運送事業で休業4日以上となる死傷災害の約9割は、墜落・転落・はさまれや巻き込まれ・動作の反動や無理な動作・転倒などであることがわかっています。

いずれも荷役作業の中で起きる事故や災害のため、荷の取り扱いは労働災害につながる可能性が高いと考えておくべきです。

 

運送業のリスクアセスメント実施は義務

労働安全衛生法では、運送業はリスクアセスメントを実施することに努めなければならないとされています。

そもそもリスクアセスメントとは、作業での危険性または有害性を特定し、それらによる労働災害の程度と発生の可能性を見積り、優先させるべき対策を決めリスク除去・低減の措置を検討することです。

職場のリスクとその対策の実情を把握しておき、災害に至る危険性や有害性をできる限り取り除き、労働災害を発生させない職場をつくることが必要といえます。

リスクアセスメントによる対策は、安全衛生計画に盛り込んで計画的に実施していくようにしましょう。

 

リスクアセスメントの流れ

運送業におけるリスクアセスメントは、主に次のような流れで実施していきましょう。

①危険性または有害性を特定する

たとえば荷が倒れたことで腕を挟まれ骨折するリスクや、荷から液体が漏れ中毒が発生するリスク、荷の上から墜落しケガを負うといったリスクが該当します。

②リスクを見積もる

実際に災害が起きた時のケガの程度の他、1日の中でその作業はどのくらい必要かなどです。

③リスクを低減する上で必要な優先度の設定

どの対策を優先するべきか、作業のやり方を変更できないかなどが該当します。

④優先度に対応した低減措置を実施

優先するべき対策から実行しておきます。

⑤記録

リスクアセスメントの結果と実施した対策を記録し、災害を防ぐ上でのノウハウを蓄積した上で、次のリスクアセスメントに活用します。