運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界の働き方改革とコンプライアンス遵守で欠かせないものとは?

2021.05.15
分類:リスク
すでに国土交通省では、改正貨物自動車運送事業法によりトラックドライバーの働き方改革を進めていき、コンプライアンスが確保されるように荷主に対する働きかけなどの規定が施行されています。

コンプライアンス遵守や働き方改革に不可欠なものは?

運送業界で働くドライバーは現在人手が不足している状況であるため、長時間労働を是正するなど働き方改革を進めていくことに加え、コンプライアンス確保を可能とすることが必要です。

貨物自動車運送事業法の改正はこれらを目的としていますが、その中でも荷主に関連した部分として、トラック運送事業者がコンプライアンスを遵守・事業遂行のため必要とする配慮は義務となっています。

荷主勧告制度の対象として貨物軽自動車運送事業者が追加され、勧告が行われれば公表されることになりました。

他にもトラック運送事業者の法令違反の原因となりえる行為が疑われる荷主に対しては、所管の省庁と連携し働きかけが行われ、トラック運送事業者のコンプライアンス確保には荷主の配慮が大切であることの理解を求めるといった働きも行われるようです。

違反となる原因行為をしていると認められる理由があれば、要請・勧告・公表などが行われます。

他にも荷主のトラック運送事業者に対する行為が独占禁止法に違反するものと疑われるときには公正取引委員会にも通知されるなど、ドライバーのコンプライアンス遵守や働き方改革は荷主の理解と協力が不可欠という認識のようです。

 

運送業界のコンプライアンス研修で教育したい内容

規制緩和で競争は激化し、サービスの高度化などが進んでいる状況ですが、現場での輸送の安全確保や過重労働防止、他社との関係の適正化なども大切な部分です。

そのため自社でコンプライアンス研修を行う場合には、これら運送業界の特性を踏まえ、次のことをしっかり教育していきましょう。

輸送の安全をしっかり確保

荷役作業や輸送中に事故が発生してしまうことを防ぐため、安全管理やコンプライアンス遵守など、適切な体制整備や荷主との関係の適正化などについて従業員それぞれが意識を高めることが必要です。

過重労働を防止する

運送業界は24時間体制で動いているため、本部の目はそれぞれの営業所や従業員に行き届きにくいといえます。そのため長時間労働が発生しやすいことを踏まえ、労働法令は正しく理解し過重労働防止に向けた従業員の意識徹底が必要です。

カルテルを防止する

カルテルは独占禁止法上の不当な取引制限として、課徴金・刑事罰の対象です。他社と接触する機会も多いため、正しい知識を持ち防止していくことが大切です。