リスクコンサルティングとは、企業経営や事業推進において、内部のリスクを洗い出し回避するための方法を考えることです。
守りのリスクマネジメントにとどまるのではなく、事業戦略や意思決定など攻めのリスクマネジメントで企業価値向上を実現させていくことともいえます。
建設業は人が現場でモノをつくることを仕事とするため、その規模の大きさや業務にかかわる期間の長さなどで、難易度や危険度が高くなりがちです。
さらに多くの協力業者と一緒に業務を行うこととなり、現場が変化しやすいことからトラブルごとの対応が難しいことも特徴といえます。
そのため事前に考えられるリスクをできるだけ多く洗い出しておき、万一に備えることができる体制づくりが大きなポイントとなるでしょう。
建設業の経営者が主に悩みとして抱えがちなリスクは次のとおりです。
工事完成後に施主や元請けとのトラブルが発生すること
従業員や下請けの職人が現場でケガを負うこと
工事が原因で第三者にケガを負わせてしまうこと
完成した工事に瑕疵があったとクレームが入ること
急な支出や売上回収の遅れによる資金繰り
この中でたとえば、作業現場の足場から道具が落下してしまい、通行人にケガを負わせてしまうといった第三者に対するケガのリスクでは損害賠償責任を負うことになります。
他にも建設現場から火災が発生し、復旧にコストがかかる場合もあれば、保管していた資材が盗難に遭うといったリスクも考えられます。
完成した建物の建築方法にミスや瑕疵があれば、荷主がケガをしてしまうこともありますし、建築物の倒壊や壁の崩れなどで賠償責任を負うことになります。工事自体をやりなおさなければならず、追加で費用もかかることとなるでしょう。
さらに建設現場の足場が崩れたことで作業中の従業員が落下してしまい、ケガを負ってしまうと生命にもかかわることとなります。労災だけでは補償が足らなくなることもあるため、別途補償の準備も必要です。
自社の従業員だけでなく、下請けや日雇いの労働者など雇用する機会が多ければ、より安全面では備えが必要となります。
このように建設業界にはいろいろなリスクが取り巻くため、これらのリスクにしっかりと備えることができるリスクコンサルティングが重要になるといえるでしょう。