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運送トラックの横転を防ぐために知っておきたいその原理とは

2021.06.05
分類:リスク
運送トラックが走行中に横転してしまうと大事故が起きてしまいますが、そもそもなぜ車両横転が起きてしまうのかその原理を確認しておきましょう。

運送トラックが横転するのはどのようなとき?

車両が旋回するときにはまず遠心力が働くこととなります。この遠心力によって、車体をもとに戻そうとする力よりも車体を倒そうとする力のほうが大きくなってしまうと、車体は傾き車幅の外に重心が出てしまい、横転してしまいます。

車両の重量が大きく旋回速度が速く、さらに旋回半径が小さいと遠心力は大きく働いてしまいます。

車体を倒そうとする力は「重心が高いほど」「遠心力が大きいほど」大きくなります。

車体を元に戻そうとする力は、車両と積荷の重心が低く左右のタイヤの間隔が広いほど大きく働きますが、反対に車体を倒そうとする力は重心が高く遠心力の大きさで拡大してしまいます。

トラックに荷を積むと重心が高くなってしまいますが、その状態でスピードを出し、急カーブを回れば横転してしまうリスクが高まるといえるでしょう。

 

タンクローリーやコンクリートミキサー車の特徴と横転の関係

タンクローリーの積荷は液体なので、タンク内で動きやすいことが特徴です。そのため、カーブなどで急旋回すると、遠心力により流体が旋回外側に片寄ることとなり、急加速や急ブレーキをかければ前後に片寄ることになり、車体を倒そうとする力が大きく働いてしまいます。

コンクリートミキサー車の場合には、ホイールベースが短いため小さな半径での旋回が可能であることが特徴ですが、回転ドラム内の生コンクリートは満載状態であるため比重が大きいだけでなく重心が高くなります。

急旋回による走行になりやすいため、小回りが利くメリットが横転のリスクを高める可能性があると考えておくべきでしょう。

どのようなトラックでも車両の特徴を理解しておき、安全運転を心掛け横転しないように注意することが必要です。

 

トンネルを走行するときにも注意を

トンネル入口では、先行車が速度を下げることが多いため追突しないように注意が必要です。トンネルへの出入りにおいては、一瞬見えにくくなることや視野が狭くなることで、スピード感がわからなくなることもあると認識しておくべきといえます。

また、長い下り坂のトンネルでは、気がつかない間に車間距離が短くなることもあるため、速度を確認し車間距離を調整するようにしてください。

そして山間部のトンネル出口では、横風に煽られることも少なくないため、ハンドルをとられないようにしっかり握り、速度を滑らかにおとしておくことが必要です。