運送による商品事故で、返品・再配送などの弁済は事業者が負担することが原則となっていますが、外箱にできた小さなへこみや破損、印刷の擦れなども返品の対象になってしまいます。
そのため物流・運送現場に対する要求も強くなっているといえ、ダンボール箱・ビニール・袋など傷がつかないように時間や手間をかけなければならず、業務の効率化を損なっているといえるでしょう。
外箱も商品として扱うなら、破損があればその責任も事業者が負うことになります。しかし商品を守ることを目的とした外箱など、梱包材にまで責任を負わなければならない状況について、現場では疑問の声もあがっているようです。
標準貨物自動車運送約款では荷造りについての規定もされており、
「荷送人は、貨物の性質・重量・容積・運送距離及び運送の扱種別等に応じて、運送に適するように荷造りをしなければならない」
とされています。
仮に外装に破損や汚れができた場合でも、収納されている商品に破損や傷がなければ、事業者がその責任を問われることはないということです。
外装の商品とするのなら、別途荷造りが必要であり、外装の異常により受取拒否となったときの損害負担は荷主にあるとされています。
あくまでも外装は商品を守るためのものといえますが、運送事業者が責任を問われることとなる貨物事故の約3割が、中身の商品には異常のない外装異常です。
そのため、物流センターなどでもメーカーと契約書を取り交わしておき、返品ルールを明確化しておいたほうがよいでしょう。
メーカーから商品が入ってきたときの検品で、すでに明らかな破損やへこみなどがあったときには開梱せず、受取りを拒否するといった対応が求められるでしょう。
その他にも、物流センター内で破損が発生したときには買い取りを行い、発送後の破損については事業者が買い取るなど、外装異常も破損として扱うのなら事前に取り決めておくことが必要です。
ただ、このような取り決めをしていた場合でも、検品でどの程度の傷があれば受取拒否の対象になるのか、具体的な基準を設けにくく判断にもばらつきがでてしまう傾向も見られます。
しっかりと契約書により、責任の範囲と所在を明確にしておきましょう。
約款を提示してもあまり役にも立たないといった声も中にはあるようですが、一般消費者の過剰な反応について荷主と事業者の共通認識があるのも事実です。
そのため、まずは約款を周知することからはじめることが必要となるでしょう。