国土交通省が2020年1月31日に正式発表した新車の乗用車に対する衝突被害軽減ブレーキの装着義務化は、運送業界でも把握しておきたいことといえます。
自動ブレーキが義務化された背景には、事業用自動車の居眠り運転で重大事故が発生したり高齢者ドライバーの事故が多発したりといったことなどが挙げられます。
そこで、いつから自動ブレーキを装着しなければならなくなったのか、その内容をご説明します。
自動ブレーキ「AEBS」は「Advanced Emergency Braking System」の頭文字を省略した名称で、国土交通省が規定した条件を満たした規格のものを指しています。
車載されているセンサーが障害物を検知し、適切な回避操作が行われなかったときに危険と判断し車両の動きを自動的に制御する仕組みが自動ブレーキです。
ただ危険を察知すれば自動ブレーキが作動するわけではなく、一定の段階を経てかかるシステムになっています。
まずセンサーが危険を察知したときには、コントロールパネルに危険であることが表示されます。それでもドライバーが何の対処も行わなければ、今度は警告音で知らせてくれます。さらにドライバーが危険を回避する操作を行わないとき、ブレーキが自動でかかる仕組みです。
そのためドライバーがハンドルを操作したときやブレーキをかけたときには自動ブレーキは作動しません。
自動ブレーキにはセンサーが3種類搭載されていますが、それぞれ次のような特徴があります。
暗い場所で車両と障害物との距離を検知する役割を担い、赤外線でその距離を測ります。ただし計測距離が長いと正確に測ることができなくなるため、20メートル程度までが目安だです。
障害物を検知する役割を担い、ステレオカメラと単眼カメラがあります。検知したものが人か車両か、そして障害物とどのくらいの距離があるかを判断します。
電波の周波数を使い障害物を検知する役割を担い、電波を照射して反射した周波数で障害物との距離や速度を測定します。
自動ブレーキの義務化が開始される時期は、
・国産新型車 2021年11月以降
・国産継続生産車 2025年12月以降、軽トラックは2027年9月以降
・輸入新型車 2024年6月以降
・輸入継続生産車 2026年6月以降
となっています。国産新型車は2021年11月から自動ブレーキ搭載が義務化されますが、国産継続生産車は乗用車と軽トラックで義務開始時期が異なるため注意しましょう。
欧州での衝突被害軽減ブレーキが義務化は2024年7月予定とされているため、日本が世界に先行する形となります。