運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業界でも注目したい自動運転技術の交通ルール

2021.11.18
分類:リスク

運送業界でも自動運転技術がまもなく本格的に社会実装されることは注目していることでしょうが、ドライバー不在の運転が可能になる自動運転ではどのような交通ルールが適用されるのでしょう。

改革を実現させていくには法律の改正も必要となりますが、新しく規制を設けたり撤廃したり、対応した交通ルール作りが必要です。

そこで、本格化する自動運転技術のうち、レベル3を実現させるために必要な法律について解説します。

自動運転レベル3を実現する道路運送車両法による自動運行装置の定義

日本での交通ルールは道路交通法により定められており、道路上を走行する車両の保安基準などは道路運送車両法により規定されています。

20204月には道路交通法と道路運送車両法が改正・施行され、公道でもレベル3による走行が可能となりました。

道路運送車両法では自動運転システム(自動運行装置)については、

プログラムで自動的に自動車を運行させるために必要な

・自動車を運行している状態や周囲の状況を検知するセンサー

・センサーから送信された情報を処理する電子計算機・プログラムを構成要素とする装置

と定義しています。

そして通信を活用したソフトウェア更新により自動車の性能変更も可能となっているため、従来の分解整備の範囲も自動運行装置などの先進技術に関する整備まで拡大されました。

その名称は「特定整備」に変更され、自動運行装置などに組み込まれたプログラムの改変・改造などの許可制度も創設されています。

 

法的にレベル3の存在が認められた

他にも保安基準や施行規則の一部も改正されており、

自動運行装置の要件として

・走行環境条件を満たさなくなるときにドライバーに運転操作を促す機能

・ドライバーが従わないときには車両を安全停止させる機能

・ドライバーを監視するドライバーモニタリング機能

などを備えることなどが盛り込まれています。

高速道路などでの低速自動運行装置を備える自動車の技術基準は、システム作動の最高速度を時速60キロと定めており、走行車線内での走行維持なども記されています。

これまで道路交通法では人が運転することを前提とした安全運転義務を定めていましたが、自動運行装置による走行も「運転」に定義しており、レベル3の自動運転が認められています。

自動運行装置を使用するドライバーに対する義務や、作動状態記録装置についての規定も整備され、レベル3の存在や機能が法的に認められ条件を満たせば社会実装が可能になったことを意味しています。