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民法改正で賠償額の上限額は必須!運送業でも人材雇用の際には注意が必要に!

2021.12.21
分類:リスク

運送会社が新たに社員を迎え入れるとき、雇用契約書に加えて身元保証書の提出を求めることもあるでしょう。

ただし身元保証書の提出は義務づけられていないため、法的な制限はなく雇用側が必要と判断したときに要求することが可能とされています。

身元保証書を提出してもらうことで、採用した後のトラブルを防ぐことも可能となりますが、20204月の民法改正で身元保証契約のときには賠償額に限度額を定めることが義務づけられました。

とりあえず身元保証書を提出してもらおうと考えても、変更点が反映されていなければ無効となる可能性もあるため、その内容を把握しておくようにしてください。

身元保証書とは何のために必要?

身元保証書は、社員の身元を保証する身元保証人を設定し、企業に損害を及ぼしたときなどに本人と身元保証人が賠償することを明記した書類のことです。

企業の備品を紛失したときや、顧客の個人情報を漏洩させてしまったとき、資金の横領など様々な損害例が挙げられますが、実際に損害が発生したときでも身元保証書があれば賠償を求めやすくなります。

身元保証契約は一般的に3年間、長くても5年間が有効期間とされます。

契約期間中、特にトラブルが発生しなかったときや勤務態度にも何も問題がないという場合でも、契約更新しないケースもあるようです。

仮に有効期間後に身元保証書の更新を求めるのなら、就業規則などにその旨を記載しておいたほうがよいでしょう。

 

民法改正で賠償額には限度額が必要に

20204月に120年ぶりの民法改正がありましたが、身元保証契約の賠償額の上限を定めることが新たに義務付けられています。

もし身元保証書に上限額が記載されていない場合、身元保証契約自体無効として扱われます。

なお、202041日よりも前に取得した身元保証書は、変更する必要はありません。

なぜ今回の改正で上限が決められたのかというと、限度額の定めがなければ賠償により、保証人が破産してしまうリスクを高めるからです。

不測の事態が起きても、身元保証人も守られるべきとする動きが見られます。

賠償額の上限は企業が決めることができますが、いくらに設定するか十分に検討することが必要となります。

できるだけ高い金額を設定しておきたいところでしょうが、高く設定しすぎてしまうと身元保証人になってくれる人が見つからなくなる可能性があるからです。

しかし少額に設定しすぎてしまえば不正が起きるリスクが高くなるため、適切な金額をしっかり検討するようにしましょう。