2017年1月に国連が開催した「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」で、「乗用車等の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)」の国際基準を検討することが開始されました。
2019年2月になると「国連欧州経済委員会(UNECE)」は、日本やEUなど40か国の地域で衝突被害軽減ブレーキを導入することを義務付ける原案に合意したことが発表されており、国土交通省も2021年以降は段階的に新車を対象とした衝突被害軽減ブレーキを義務付けることをスタートさせるとしています。
そこで、運送業界でも無視することはできない衝突被害軽減ブレーキなど先進安全自動車(ASV)技術とはどのようなものなのか、その内容について説明します。
乗用車等の衝突被害軽減ブレーキに関して、国際基準を導入することとなったため、新車を対象に衝突被害軽減ブレーキの義務付けが開始されました。
特に高齢運転者などが交通事故を起こすケースが目立つため、車両の安全対策措置として乗用車などへの備え付けが義務化されます。
対象となるのは、乗用車(二輪自動車・側車付二輪自動車・三輪自動車・カタピラおよびそりを有する軽自動車・被牽引自動車を除く)で乗車定員10人未満のもの、貨物運送用の自動車(三輪自動車・カタピラおよびそりを有する軽自動車・被牽引自動車は除く)で車両総重量3.5トン以下のものです。
規定された要件に適合した衝突被害軽減制動制御装置を備えなければなりません。
2021年以降は、新車を対象に段階的に乗用車などの衝突被害軽減ブレーキに関する保安基準を設け、義務付けが適用されます。
具体的には、新型車の場合、国産車なら令和3年11月、輸入車は令和6年7月からです。
継続生産車(軽トラックは令和9年9月)の場合は、国産車が令和7年12月、輸入車は令和8年7月から義務付けられるとされています。
乗用車などの衝突被害軽減ブレーキに関する国内基準(保安基準)は、次の3つの要件を満たすことが必要です。
・静止車両・走行車両・歩行者に対し決められた試験方法を行い、所定の制動要件を満たすこと
・エンジン始動のたびに自動的にシステムを起動させスタンバイさせること
・緊急制動の0.8秒前(対歩行者は緊急制動開始)までに警報すること
なお、試験方法は以下のとおりとなっています。
・静止車両 対向車の速度0km/h 試験車速度(軽トラ)40km/h(30km/h)
・走行車両 対向車の速度20km/h 試験車速度(軽トラ)60km/h(50km/h)
・高さ115cmのダミー(6歳児相当) 対向車の速度5km/h(横断速度) 試験車速度(軽トラ)30km/h(20km/h)